書店人日記 2008

本を持って山へ行こう

  • 伊藤の日記
  • 10月25日 up

 空が高い秋、ちょいと山でも登って遠い空を眺めたい気分になりますね。日本でも戦前は娯楽がないから若者は山に登ったものです。 たとえば小林秀雄なんぞでも深田久弥と登ったりしています。
後年、読売文学賞の選考委員だった秀雄は、久弥の「日本百名山」を選んでますが、その作品の価値も優れているのですが、山に一緒に登った 旧友の作品を選んでるよこいつ、という感じもなくも無い。
さて、日本の作家はどんな山に登った作品を残しているのか、江戸時亜大の松尾芭蕉「おくのほそ道」の(16)月山や、鈴木牧之「北越雪譜」の(32)苗場山 は別にして。

 三浦綾子なら(7)十勝岳,新潮文庫「続泥流地帯」に「今、十勝岳に雪はない。五月二十四日の爆発の時には、十勝岳は何メートルもの積雪に閉ざされていた。 その積雪が、灼熱の溶岩に一時に溶けて、泥流になったと聞いていた。」1926年の事。山は畏怖から恐怖に変わります。

 太宰治なら(10)岩木山、岩波文庫「津軽」で「『や!富士。いいなあ。』と私は叫んだ。富士ではなかった。」決め付けながら、一転否定する太宰らしい表現。 今は8合目位までバスで行け、9合目までリフトがあるので楽すぎ登山。

 新田次郎なら(11)八甲田山、新潮文庫「八甲田山死の彷徨」に「白地山の頂上には雪はなかった。風に吹き飛ばされたのだ。」とありますが、この山風が 強くて、いっぺん飛んでみて後ろに落ちて面白いと最初思ったのですが、それから1時間這って頂上に登ったことを覚えています。八甲田山死の這行。

 宮沢賢治といえば(13)岩手山、新潮文庫「宮沢賢治詩集」中「岩手山」に、「薬師火口の外輪山をあるくとき/わたくしは地球の華族である/蛋白石 の雲は遥かにたたへ/オリオン 金牛 もろもろの星座」鉱物や星座が出てくるのはいかにも賢治らしい。この山は富士山のように砂礫で歩きにくくて飽きちゃいます。 頂上に蜻蛉が多数いました。蜻蛉も避暑するんでしょうか。

 斉藤茂吉なら(18)蔵王、「陸奥をふたわけざまに聳えたまふ蔵王の山野雲の中に立つ」ふたわけざまがきいてますね。ロープウェイで便利になったので、誰でも登れてありがたみがなくなりました。

 高村光太郎なら(21)安達太良山、新潮文庫「高村光太郎詩集」中、「あどけない話」で、「智恵子は東京に空がないといふ」「阿多多羅山の山の上に/毎日出ている青い空が」本当の空があるという。 ふるさとの山の空が一番すがすがしいのでしょう。

 田山花袋なら(41)草津白根山、岩波文庫「温泉めぐり」で、湯釜から黄・白・灰色の噴煙が巻き上がる様子を描いていますが、気味悪くて降りるのは躊躇しています。 実生活も登山もためらう人なんですね。あっけないくらい簡単に登れますが、ぼおっとしてると火山ガスにやられます。注意!

 池澤夏樹なら(43)浅間山、「真夏のプリニウス」では、「この下でマグマが動いているのか。こちらに向かって今ゆっくりと岩盤の隙間を満たし、岩塊を押しのけながら、登ってくるのだろうか。」 と書いていますが、やたらと噴火するこの山、登山禁止の時に登って火口の中を見たことがあります。 不思議に煙はわずかで底が見えました。でもすぐ降りました。噴火は怖し。

 芥川龍之介は(54)槍ヶ岳、岩波文庫「山の旅 明治・大正篇」明治42年に登ってます。龍之介が3000峰に上ってるとは意外。

 島崎藤村なら(60)御嶽、「隠れたところにあるその孤立。その静寂。人はそこに、常なく定めなきる点の力に対抗する偉大な山嶽の相貌を仰ぎ見ることが出来る。」 主人公が幕末の人だから山岳信仰になるんですね。六根清浄。

 堀辰雄といえば、(64)八ヶ岳、新潮文庫「風立ちぬ」に「八ヶ岳の大きなのびのびとした代赭色の裾野が漸くその勾配を弛めようとするところに、サナトリウムは」とあります。 堀辰雄はなんでも軽井沢周辺を考えて島しますが、こおは富士見高原。八ヶ岳は山すそが広いので、そこに町や村があればみな村ごと町ごと坂町・坂村になります。 清里も坂の上を上っていけば八ヶ岳のどこかの頂上にたどりつくということになる訳です。きっと途中でバテます。

 (79)鳳凰山なら作家じゃないかでウェストンの出番 平凡社ライブラリー「日本アルプス再訪」(「極東の遊歩道」が原題に近い)では、「この岩柱が、 日本人のいう《合掌立ち》、すなわち、祈るときに両手を合わせる格好にもたれ合っている。」といい、巨大なにんじんを立ててもたれ合わせたと表現しています。 この尖塔(オベリスク)に初めて登ったのがウェンストンです。登頂の様子はこの本に描かれています。

 高村薫なら南アルプスの(80)北岳、講談社文庫「マークスの山」に、「雪雲に煙るバットレスの黒い垂壁と、その先にそそり立つ頂上の姿が 何度も浮かんでは消え」とあります。バットレスは高さ600メートルの岩壁で、北岳の特徴。朝北岳山荘から間ノ岳、農鳥岳を経由して夜奈良輪まで 降りたことがありますが、ふらふらで、その夜はようし酒飲むぞとビールを14本飲みました。翌日朝は二日酔いでふらふら。

 番外で、南アルプスといえば飯田蛇笏の句「芋の露連山影を正しうす」この連山は南アルプスですよね。小さい芋の露、そのきららな 朝露によく見ればアルプスがそのまま映っている。格が大きいですね。中央線で甲府盆地に入ると南アルプスの連山を眺めましょう。

 志賀直哉ときたら(92)大山、岩波・新潮文庫「暗夜行路」、「米子の灯も見え、遠く夜見ヶ浜の突先にある境港の灯も見えた。或る時間を置いて、時々強く光るのは美保の関の燈台に違いなかった。湖のような中の海は この山の陰になっている為まだ暗かったが、外海の方はもう海面に鼠色の光を持っていた。」あくまで簡潔に日本海の方角を眺めています。

 天童荒太なら(94)石鎚山、幻冬舎文庫「永遠の仔」に、「山小屋の屋根越しに、岩の壁がそそり立っているのが見える。岩の壁の上方は、白いもやがかかっていて、見通せなかった。」 とあり、この岩に鎖がついています。四国の霊場の厳かな雰囲気がこの小説の背景になっているのですが、霧がかかりやすいのか、私が登ったときは山頂は晴れでしたが谷は曇っていました。その雲に 人がいるので驚くと、太陽が自分の体を斜め100~200メートル下の雲に映しているんです。面白くて手を上げたり輪にして楽しみました。たぶん一生に一度のブロッケン現象。

 夏目漱石は(97)阿蘇山、新潮文庫「二百十日・野分」 「非常に黒いものが降ってくる。君あたまが大変だ。」火山灰が降ってきたんでしょう。 私も登山禁止の時熊本出身の早大生と登って全身灰だらけになりました。ロープウェイが落っこちてぐしゃりと潰れていました。登っているのはその二人だけでした。怖(こわ)

 林芙美子は(100)宮之浦岳 新潮文庫「浮雲」では明るい南国仏印から雨の屋久島へ向かいます。「この八重岳の山容は、仏印のアンコールトムのバイヨンに似ている」と、 アンコール遺跡に樹木が覆う様子が繁盛する屋久杉のようと表現しています。陽光=快活、雨=消沈は「風琴と魚の町」同様芙美子得意のパターン。 私の登ったことがありますが、同行が怪我して早く登ったので記憶があまりないのです。頂上では昭文社の山と高原地図「屋久島」を持っている人がざっと150人いたのが驚きでした。

数字は深田久弥「日本百名山」の掲載順の番号です。書いてるときりがないし、新書を棚に入れなければならないので、今日はここまで。

考えます、ずっと・・・

  • 森岡の日記
  • 10月15日 up

 少しだけ、まじめな話です。 新潮文庫 ミッキーマウスの憂鬱 をご存知ですか? ここ2年位、行っていないのですが、大好きなディズニーリゾートの バックヤードのお話と聞けば、読まずにはおれません (単行本新刊時に気が付かずに・・・恥ずかしい・・・) (そーいえば入社時に スタッフ皆で、初ディズニーランドを 楽しんだ思い出があるなあ・・・懐かしい・・・)

 話を戻します・・・

 ディズニーランドのオープン時、なんだか魔法にかかった様に・・・ ディズニーと題名に付けば 、色んな本を読んだ記憶があります。 オープンまでの苦難の道のり、そしてサービスのあり方など 感動,そして、今もあこがれます。 さてさて、ミッキーマウスの憂鬱なのですが、 ミッキーマウスは、世界に一人だけ・・と信じている?私にとっては 少々刺激的なバックヤード話に、まず引き込まれます。

 ただ、そんな暴露本と思ってはいけません。 本当に分かり易い極端な事例(出来事)によって、 今の会社(社会?)の問題点を解説してくれます。 あこがれを抱いて入るも、日常と現実に夢儚くも(よくある事です) 社員と契約社員とアルバイトの関係って? ・・・そんな中 主人公は、悩みながらも周りを巻き込みながら、かまわず 前へ前へ進みます(このエネルギーは大事です)。 ある意味ハッピーエンドにホッとする訳ですが、果たして! いつか彼も変わってしまうのでしょうか? それとも もっと前へ走るのでしょうか? 走れる環境、走る意味、そこを考えます(抽象的ですみません)。

 ごめんなさい、ほんとに楽しい本なんですよ。 今日にでもミッキーに会いに行きたくなるんだから? それをなんだか・・・何を分析しちゃってるんでしょ? 本は・・楽しく読まなきゃ

おすすめ本のアッピール譚

  • 吉江の日記
  • 9月13日 up

 本をアッピールするというのはなかなか難しい。外見だけで 「えーっとぉ~、このお客さまは~、コレが好きであろう。」と判断することは不可能です。 店に入っていらしたお客さまにいきなり接近し、例えば洋服を売るように 「きょうは何をお探しですか~?」と声をおかけすることも出来ません。 「買う本は決まっておる!」とお客さまの気分を害するだけです。

 ましてや 「今、お持ちのバッグにはコレなどお似合いかと・・・。」などと、ファッションとコーディネートし た装丁の本をお勧めした日には「なんなの、このヒト・・・。」とお洒落な銀座マダムに怪しまれるだけです、 客足ばったりです。

 そういった暴挙に出られるはずもないワタクシたち書店員はぜひ読んでいただきたい本を目立つところに置いたり、 POP を描いたり、平積みがダメなら棚面(棚に表紙を見せて置く)があるさ、押してもダメなら引いてみな・・・ とまるで演歌歌手のように粘り強く頑張るのです。

 各担当それぞれこだわりがあり、例え出版社さんが派手な宣伝をしなくとも、発行部数が少なかろうとも 「お願い!誰か手に取って!」と叫びたい本がたくさんあります。ひっそりと棚にさした思い入れの深い本を お客さまがお持ちになった時には、そりゃあもう大騒ぎサ!!(こころの中で。) 5年に1回しか会わない親戚のおっさんよりも親しみを感じてしまうほどです。そして、 「あの本を楽しんでくれているといいなあ~。」とぽわんと考えたりもします。 お店で1度きりの出会いかもしれませんが、そのあいだに<本>が介在しているかと思うと、ナンダカ嬉しい。

  永井が前記で書いているように「レンゲと間違えてケータイでスープを飲め」と念じられないように、   ケータイを文庫本に持ち替えたらいかがでしょう。

 それにしても、だなぁ~。今年の初めからず~っと原尞さんの新作を待っているのですケドねえ~、 いつ?いつ?いつになるのだ??原さん、お願いします!沢崎に会わせてください!!

金次郎的姿勢

  • 永井の日記
  • 9月8日 up

 二宮金次郎といえば周知のとおり、薪を背負いつつ書物を読む姿をかたどった銅像が、 全国津々浦々の学校に立っていて、かつてはわれわれが見習うべき勤勉の手本として絶大な人気を誇り、 金次郎にならって歩きながら本を読み、勉学に励む人が多数見受けられたことであろうと想像されるのだが、 最近はどうも存在感が薄いというか、金次郎像を目にすることなど滅多になく、その姿に接することができるのは 、某ブックセンターの前くらいであり、その影響力の低下は否めないところである。

 まして本を読みながら歩いている人となると、存在感どころか、その存在すら確認することは困難を極めるのであり、 もし万が一発見されたならば、これを手厚く保護し、国の特別天然記念物に指定すべく運動するのが、 書店人としての使命ではなかろうかと思うのであるがいかがであろうか。

 さて、金次郎像とそのフォロワーが絶滅の危機に瀕している現代、われわれは勤勉さ真面目さをを失って しまったのであろうか、といえばそうではなく、むしろ金次郎的な人は増加していて、それはいつでもどこでも 見られるありふれた光景にさえなっている。というのはほかでもない、ケータイでメールをする人というのがそれであり、 それこそ全国津々浦々に広がっているのである。

 仕事の行き帰りに電車に乗ると、私などは書店人の端くれであるから車内で本を読むのであるが、 いまやそんなのは少数派であり、ほかの人はたいていケータイを持ってメールやらゲームやらをしている 、というほうがあたりまえである。また、いつでもどこでも、という特徴を生かして、 後架において用を足しつつメールをするなんてことも容易であるし、防水をうたった機種であれば、 風呂でプールでメールをすることも可能である。ラーメン屋に入れば、右手に箸を持って麺を啜り、 左手にケータイを持ってメールをする人がいて、レンゲと間違えてケータイでスープを飲め、 などとその横で念じている私などは、もはや完全なマイノリティー、ただの意地の悪いおっさんである。

 そんなケータイ全盛時代における金次郎とは誰なのかといえば、歩きながらメールをする人のことであって、 ケータイを持ってメールを打つその姿勢がまさに金次郎的なのである。さすがに薪は背負っていないが、 そのかわり現代社会に生きるというストレスを背負っているではないか、ということにしておいて、 歩いている時でもメールのやり取りをおろそかにしない、という考え方の持ち主は、勤勉であり、真面目であると思う。 私なんかはメールを受信しても即時に返信するのが面倒で後回しにしたり、場合によっては返信さえしなかったり するような不精かつ不真面目な、今の世の中にあっては人の道を外れた人間であり、まことに面目ない次第である。

 しかし、こんな外道の立場からでもひとつ言わせていただきたいのは、歩きながらメールをしたら、 とくに階段を降りる際にメールをしたら危ないですよ、ということで、メールに気を取られて足を踏み外し、 後頭部をしたたか打って絶命。ということもあり得ないことではない。とはいえ、そうした生命の危機があるにもかかわらず メールを打つ人というのは、実はものすごく真面目で責任感の強い人なのではないか、と思ってみたりもする 。が、それにしても、真面目であったがゆえに頭を打って死ぬ、というのであれば、 たとえ世間から不真面目な奴であるとののしられようとも、私は生きていたい。生きて、本を読みたい。

  一介の書店人としては、歩きながらメールをする人々のその金次郎的姿勢を、書物のほうに向けていただければ、 と思うのである。いまケータイでメールをしている勤勉で真面目な手を、少しでも多く本を読む手に取り戻したいのである。 そのためにも二宮金次郎像はこれからも読書家のシンボルとして存在しつづけることを願ってやまない。 と思わない書店人はいない、と思いたい。

ひとつ本でも読むとするか

  • 伊藤(丈)の日記
  • 8月18日 up

夏は心の鍵を甘くするわ、ご用心 ♪

 例年通り、昔の流行歌を口ずさんでいるうちに、八月も後半になってしまいました。学生時代の名残か、 この時期何とはなしにマズイ、という逼迫感を覚えつつも、さわやかな秋空を待ち望む気持ちも募ってきます。 しかし、今年も残暑は長く厳しいようで、程よい気温と湿度はまだしばらく先のようです。

 今年の春先、気が向いたので「イワン・デニーソヴィッチの一日」と「ガン病棟」を読み返してみた。 25年ぶりくらいだろうか。スターリン時代の一片を切り取り、その姿を克明に描き出した作品で、 当時の過酷な状況や人々のメンタリティーがよく伝わってくる内容です。 そのソルジェニーツィン氏が今月3日に死去したということを新聞で読んだ。 個人的には勝手に歴史上の人物にくるめてしまっていたものの、その記事により思い違いを知らされました。 命がけで言論活動を続けてきた、その勇敢な生き方に、改めて敬服の念を抱きます。

 なお、「イワン・デニーソヴィッチの一日」以外の文庫は絶版となっているので、復刊されることを願っております。 さて、諸物価上昇の局面で、天井がどのあたりにあるのか、見当もつかない昨今、 「いっちょ、家で本でも読むか」という気になる方も多くいらっしゃるかと思います。 数百円から数千円で、数時間から数ヶ月まで、自分のペースで充実した時間を過ごすことができる重宝な代物です。 どうぞ、手頃な本を見つけにお越しください。

パンチ効いてる!

  • 遊佐の日記
  • 8月5日 up

 季節はあれよあれよと巡り、夏本番の8月に入りました。さすがに、アツい!ですね。 みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

 私は暑さと闘いながら、しかしながら一向に衰えない食欲のおかげで 毎日、ごはんを糧にがんばっています(笑)こう暑い日が続くと、スタミナがあってパンチの効いた食べ物、 「うな重と肝吸い」なんていいですねー! うなぎさまに感謝してパワーを肖りたい今日この頃。

 そういえば、今読んでいる本。まさに「うな重と肝吸い」に相当するパンチの効いた大人気シリーズ。 実に7年ぶり、R・Dウィングフィールド/芦澤恵 訳 待望のフロストシリーズ第4弾「フロスト気質上・下」じゃありませんか。 ページをめくるやいなや、ニヒっ、フフっ、とこみ上げる面白さ!! そして1ページたりとも見逃せない展開を繰り広げ、 鼻息をフンフン言わせながら、今どっぷり・・・はまっています。

う~ん。面白~い!!

第139回芥川賞候補作品・直木賞候補作品

  • 岩本の日記
  • 7月10日 up

第139回芥川賞候補作品

  • 磯崎憲一郎「眼と太陽」
  • 岡崎祥久「ctの深い川の町」
  • 小野正嗣「マイクロバス」
  • 木村紅美「月食の日」
  • 津村記久子「婚礼、葬礼、その他」
  • 羽田圭介「走ル」
  • 楊逸「時が滲む朝」

第139回直木賞候補作品

  • 井上荒野「切羽(きりは)へ」
  • 荻原浩「愛しの座敷わらし」
  • 新野剛志「あぽやん」
  • 三崎亜記「鼓笛隊の襲来」
  • 山本兼一「千両花嫁 とびきり屋見立て帖」
  • 和田竜「のぼうの城」

 さて、平成20年度上半期芥川、直木賞候補作品が上記のように決まりました。 残念ながら一つも読んでませんが、どうかお許しください。 果たして買っても、読みきれるかどうか不安で・・・

 例えば三崎亜記の「となり町戦争」は半分くらいまで、荻原浩の「明日の記憶」は1/4程度、 いずれも途中で止めてしまいました。承知の通り、両方ともベストセラーで、立派な作品です。 しかし、相性が悪いというか、何か目に見えないパワーが働くのでしょうか、うーん? ずばり、単に「根気がない」だけでしょう。

では「根気のない」私が最近読みきった本は、

  • 新潮社「制服捜査」佐々木譲
  • 新潮社「警官の血 上・下」佐々木譲
  • 集英社「誘拐捜査」中郡英男
  • 幻冬社「償い」矢口敦子
  • 新潮社「忍びの国」和田竜←P83途中

さらに「根気のない」私がこれから読む予定の本は

  • 新潮社「東京島」桐野夏生
  • 幻冬社「茨の木」さだまさし
  • 講談社「虚夢」薬丸岳

*芥川、直木賞の発表は7月15日(火)です。

前回の答えです

  • 伊藤の日記
  • 6月5日 up

前回の問題の答えです。いかがでしたでしょうか。

テ 谷崎潤一郎の奥さん ナ 第一回受賞者 三益愛子 ノ 南果歩 中山美穂 ツ 横山秀夫の候補作に難癖をつけました  イ ト集英社が育てた作家です シ ニの息子です 教文館にも時々ご来店 フランス在中  

 

カとヌ ちなみに女優吉行和子はヌの妹 ネとヒ ア e ウ セ キやタやミは医者ですが、  セは医学部を出ても国家試験に合格してません フ 経営も火の車だったとか オ C  ス ケ サ キ コ クとソとニ   ちなみに主人公は福田善一郎で三人の名前を一緒にしたもの チ ヘ b d 正確には17日まで続く    a 絞首刑でなく銃殺刑でした   

  

では、今回も問題です。 出版社の新人研修に使う問題です。次のキーワードから作品名を記号で答えましょう(15)分

  

1.接続助詞「が」は使うな (  )2.タイトル「と」→「の」(  )    3.薫 その兄から貰った清涼剤の名はカオール(  )4.長距離競争 不安な洪作が走っても   元気でいられるとさき子から三粒渡された清涼剤の名はカミール   5.東京→北海道(  ) 6.66号線 オクラホマ→カルフォルニア(  )    7.白川郷 桂離宮(  ) 8.南北朝(  )9.マドレーヌ(  ) 10.加藤文太郎(  )   11.市川團十郎(  )12.ねずみ(  )13.ルーゴン・マッカール叢書(  )   14.人間喜劇(  ) 15.「蒼穹の昴」の文秀もこのため勉強(  )   16.インド系アメリカ人(  )17.椎名誠が書いたインドの本は「インドでわしも考えた」、   では堀田善衛が書いたインドの本は(  )18.「おい、地獄さ行ぐんだで!」プレカリアート愛読書(  )   19.相手が目の前にいなくなれば、並々の恋はさめ、並々ならぬ恋はつのる(  )   20.地下室転落 成長中止(  ) 21.直木賞ミリオンセラー(  ) 22.浦安(  )   23.東京駅(  )24.アーネスト・サトウ(  )25.子供より親が大事、と思いたい。(  )    26.ハイイロガン (  )27.スパイ(  )28.ゾルゲ(  )29.芥川賞ミリオンセラー    (  )30.双葉山「いまだ木鶏足りえず」の原典(  )31.背景の自然は国木田独歩に対抗し、    人物の心理ではラデイゲに比肩する恋愛小説 32.創元推理文庫では名の「ル」が「リュ」(  )     新潮文庫では名前はなし、訳は堀口大学(  )33.アフガニスタン(  )34.タヒチ(  )35.    ふらんすにヘ行きたしと思ヘども/ふらんすはあまりに遠し(  )36.パブリックスクール(  )    37.民主党の代議士管直人もでてくる1975年第2位のベストセラー(  )    38.ビールはないけど恵比寿はある?(  )39.苗場山に登るのは「北越雪譜」、    月山に登るのは(  )40.「である」ことと「する」こと(  )

   

ア 自由と規律 イ 桜桃 ウ 怒りのぶどう(葡萄) エ 日本美の再発見 オ 美しい日本の私 カ 青べか物語    キ ?皮 ク 日本奥地紀行 ケ 二百十日 コ インドで考えたこと サ 失われた時を求めて シ 蟹工船    ス停電の夜に セ 遠い崖 ソ 点と線 タ ソロモンの笛 チ アシェンデン ツ ブリキの太鼓 テ 孤高の人    ト モゴール族探検記 ナ 鉄道員 ニ しろばんば  ヌ ナナ ネ パニック ノ 月と六ペンス ハ きのね    ヒ 愛情はふる星のごとく フ 破軍の星 へ 箴言集 ホ 伊豆の踊子 マ 論文の書き方 ミ 複合汚染 ム 荘子     メ 怪盗紳士(ルパン)ないし(リュパン)」 モ 奥の細道 ヤ 科挙 ユ武蔵野夫人      ヨ限りなく透明に近いブルー ラ純情小曲集 リ 日本の思想     

    

 

    

今回は答えも載せます

    

答え 1.マ 接続助詞の「が」は順接にも逆説にもなるので使うのはやめましょう      2.オ 最初は「美しい日本と私」だったんですよ「の」にするとなんか曖昧      3.ホ 踊子の名は薫 知らない人も結構いるのでは たぶん大正だと思われるので現代的な感じ      カオールという清涼剤 明治製菓のカルミン(大正10年発売)のようなものでしょうか      これは本当にあったものです 4.ニ カミールって本当にあったんですかね     西域好みだからパミール高原とカオールを一緒にして商品名を作ったりして、     そんな想像をすると楽しいですね 舞台は大正時代の伊豆 井上靖が「伊豆の踊子」と     会ってたらと想像すると愉快ですね 5ク 6.ウ 7.エ 8.フ 破軍星とは北斗七星      これを背にして戦えば勝つと三国志に出てきます ハードボイルドから南北朝を書き、     それから三国志を書いたのもまたむべなるかな     9.サ 紅茶に浸したマドレーヌを食べたとたん幼年時代に食べたマドレーヌ思い出され、     そして 10.テ 単独行登山家 11.ハ 十一代目市川團十郎の奥様がモデル     12.ネ 選択欄に「ペスト」はないのでネが正解 13.ヌ 第9巻になります      このシリーズでは第7巻「居酒屋」が一番有名ですね 群像描写が上手い      その「居酒屋」の主人公の娘がナナ 14キ 三ツ星レストラン「?皮」の名はこれが由来      ちなみに分店は「哥利歐」つまり人間喜劇の「ゴリオ爺さん」ですね      15.ヤ 宮崎一定著 16.ス 17.コ 18.シ 19.ヘ 岩波文庫は別訳です     276番目の箴言     20.ツ 21.ナ 22.カ 小説では浦粕 沖の百万坪も今やデイズニーリゾート     隔世の感 23.ソ この作品当時の交通公社の「旅」に連載された清張初の長編     24.セ 25.イ ちなみに「子供より古書が大事と思いたい」は加島茂     26.タ 27.チ モームは第一次大戦中スパイをしていてその経験から書いた     28.ヒ 愛情はふる星のごとく ゾルゲ事件に連座した尾崎秀実の家族への手紙     1946~48のベストセラー 岩波現代文庫 ちなみに木下順二の「オットーと呼ばれる日本人」     のオットーは尾崎のこと 私は中学の頃オットーとは父親の意味だと思っていました     (笑)29.ヨ 30.ム 31.ユ 国分寺辺で地名をたずね「恋ケ窪」 と聞いて道子の膝が力を失う場面が印象的 大岡昇平32.メ33.ト 1955年のベストセラー第9位 実は梅棹さんの最初の本です.まだ無名の学者を見出だした編集者もエライ 34.ノ 選択欄に「ノアノア」はありません 35. ラ このタイトルの本はないので、「萩原朔太郎詩集」が答えでもよいでしょう 36.ア 37.ミ 新潮文庫59ページを見ましょう 38.ケ 新潮文庫「二百十日・野分」の37ページを見ましょう 恵比寿もビールですよね 39.モ 芭蕉は1980メートルの頂上に立ちました ちなみに苗場は2145メートル スキー場は苗場山の前山に当たる筍山です 40.日本の思想

作家の問題です。

  • 伊藤の日記
  • 5月19日 up

作家の問題 記号で答えましょう 時間15分

詩人・小説家で、小説家の奥さんと結婚した人は誰(  )

直木賞作家で女優と結婚したのは誰(  )

芥川賞作家で女優と歌手とも結婚したのは誰(  )

直木賞を受賞してないのに直木賞の選考委員なのは誰(  )

芥川賞を受賞してないのに芥川賞の選考委員なのは誰(  )

すばる文学賞を受賞して、その作品で芥川賞も受賞したのは誰(  )

中央公論新人賞を受賞して芥川賞も受賞したのは誰(  )

兄弟姉妹で芥川賞を受賞したのは誰と誰(  ) (  )

夫婦で直木賞を受賞したのは誰と誰(  ) (  )

岩波書店のドリトル先生シリーズを訳したのは誰か?(  )

映画「名探偵登場」に役者として出た作家は誰(  )

プロ野球セリーグ事務局にいた詩人は誰(  )

医学部卒で医者にならなかったのは誰(  )

屋台の焼き鳥「火の車」を引いていたのは誰(  )

架空の町神町を舞台にした小説を書くのは誰(  )

架空の土地ヨクナバトーファを舞台にした小説を書くのは誰(  )

自衛隊にいたことがある芥川賞作家は誰(  )

自衛隊にいたことがある直木賞作家は誰(  )

晩年カツ丼ばかり食べてた作家は誰(  )

饅頭茶漬けが好きな作家は誰(  )

NHK「ひょっこりひょうたん島」の放送作家だったのは誰(  )

映画「モスラ」の原作者は誰と誰と誰(  ) (  ) (  )

「おもちゃのチャチャチャ」の作詞者は誰(  )

♪ゆうやけこやけのあかとんぼ 「赤蜻蛉」の作詞者は誰(  )

貴族でもないのに貴族のペンネームなのは誰( )

6月16日というある一日を描いた作品を書いたのは誰(  )

架空の土地ヨクナバトーファを舞台にした小説を書くのは誰(  )

12月21日死刑を免れたのは誰(  )

東北大学卒の芥川賞作家と東北大学大学院卒の直木賞作家は誰(  ) (  )

ア 井伏鱒二 イ 山田詠美 ウ 清岡卓行 エ 川口松太郎 オ 阿部和重 カ 吉行理恵  キ 森 鴎外  ク 中村真一郎 ケ 浅田次郎 コ 井上ひさし サ 永井荷風 シ 池澤夏樹 ス 野呂邦暢 セ 安部公房  ソ 堀田義衛 タ 水原秋桜子 チ 野坂昭如 ツ 北方謙三 テ 佐藤春夫 ト 金原ひとみ ナ 川口松太郎  ニ 福永武彦 ヌ吉行淳之介 ネ藤田宣永 ノ 辻 仁成 ハ 林 真理子 ヒ 小池真理子 フ 草野心平  へ 三木露風 ホ 西条八十 マ 北原白秋  ミ 北 杜夫 ム 佐藤賢一 *全部該当するとはかぎりません

a ドストエフスキー b バルザック c フォークナー d ジョイス e カポーテイ

さらに、楽しい店を目指して・・・

  • 森岡の日記
  • 4月27日 up

 リニューアルのご挨拶もいたしませんで、失礼いたしました。 2月は、たいへん多くのお客様に ご不便、ご迷惑をおかけいたしました。たいへん遅くなりましたが、 おわび申し上げます。申し訳ありませんでした。

 3月1日に、見た目にも大きく生まれ変わってリスタートいたしました。 この2ヶ月間、色々なお客様に ご意見をいただきました。ありがとうございます。 これから、さらに分かり易いそして、楽しい棚を目指しまして、変わってまいりたいと思っております。

一階の店頭、バックナンバーコーナー、階段中2階、2階入り口、そして2階書籍売場など それぞれで、小さくても変化に富んだフェアも開催いたしております(表示がまだまだ不充分ですが)。 もちろん常設棚にも、よりいっそう力を注いでまいります。また、このホームページをご覧の皆様には, 教文館e-shopもお見逃しなきよう(どんどん進化中)!

ご来店を、お待ちいたしております。ごゆっくり、お楽しみ下さいませ。

小説って!すごいなやっぱり!

  • 森岡の日記
  • 4月27日 up

・・・俺は犯人じゃない。青柳雅春・・・

・・だと思った。・・

 まいりました、伊坂幸太郎様・・・・・・ゴールデンスランバー(祝、本屋大賞) 恥ずかしながら、今頃読みました、、、、

冒頭2行は、私の一番お気に入りのシーン‘‘信じなきゃ・・・という場面? へたな感想は、書きませんが・・ハリウッド映画や連続テレビドラマがお好きな方 (私は大好物です)には、ぜひ!ぜひ!配役を想像しながら読むのも良いかも? 主人公 青柳くんには、香取慎吾さんはいかが?・・・逃げろ!慎吾ちゃーん?

その後も伊坂幸太郎さんにはまっています・・・

電車通勤のリスク

  • 吉国の日記
  • 3月29日 up

 毎日、電車通勤をしています。電車での通勤経験者はよくわかっていると思いますが、これほどストレスの 溜まる通勤方法は無いのではないかと思えるくらい大変なラッシュをかいくぐります。 中には「通勤電車で寝てはいけない!」(三笠書房)という本が出るくらいだから、多分電車通勤を有効利用している 方々も多いであろうとはおもいます。

 えー、しかしですね。毎朝電車にすし詰め状態で乗るたびに、こんな非人間的な空間は他にないのではなかろうかと 確信するのは私だけでしょうか?

 まず、熾烈なイス取りゲームの乗車時。これって無言の心理合戦なんですよね。 何号車のどのあたりが空いているとか、座っている学生さんはすぐに降りるからねらい目だとか。 いかに席に座るか、といった技術本まで刊行されました(「通勤電車で座る技術!」かんき出版)。

 それから電車には人身事故が多い!ほぼ毎日どこかの路線で人身事故があった旨の表記が時刻掲示板の テロップに流れています。それを見るだけで一日ブルーな気持ちに沈むのに充分です。 つい最近はプラットホームで待っている人を後ろから電車に突き落とすという故意の事件が起こったばかり。 おおー恐ろしや。ホームの端にはしばらく立てません。

 一番恐ろしいのが痴漢。女性の敵、そして一般男性にとっても大敵。 いわゆる痴漢冤罪(えんざい)というやつが頻発して社会問題になりましたが、 最近関西地区で男性専用車両を求める声が多いそうです。そこまでしなくても・・・と思ってしまった私は甘かった。 映画化されて話題になった「彼女はうそをついている」(文藝春秋社)「お父さんはやってない」(大田出版)と いった痴漢冤罪本を読むと、とても他人事とは思えなくなります。痴漢冤罪で人生が台無しになってしまうなら、 男性専用車両を望む声も悲痛な叫びに聞こえてきます。かくいう私は痴漢被害にあったことがあり (さすがにこの歳になってからは無いですよ)、どちらかというと男性専用車両は反対ですが。 だって、その手の趣味の男の人にとっては天国ですってば、男性専用車両。

年度の計

  • 永井の日記
  • 3月24日 up

 よく「一年の計は元旦にあり」と言いますが、いまはもう3月下旬。 それなのになぜ正月のことを持ちだすのかというと、春の陽気が頭にやって来たから、 ではなくて、それは悔恨であります。つまり、一年の計は元旦にあった。あったんだよなあ。という、 もはや取り戻せない時への思いなのであります。

 たいてい年の暮れには、その年をふり返り、良かった点は自分をほめてあげたい。 悪かった点は反省猛省したうえで、来年はこのように生きよう。生きていきたい。 という己自身にたいする決意表明をひそかにするのですが、昨年末に決意したのは、このようなことでした。

「ホームページのオススメ本の紹介文を毎週一冊ずつ書く。必ず書く。絶対書く」

 われながら、素晴らしい決意だと思います。が、世の中に絶対というものは絶対にないのでありまして、 それはオススメ本のページをご覧いただければおわかりのように、毎週一冊どころか、 月一冊書くのがやっと、というていたらく。これは怠惰だ堕落だ没落だ。なぜこんなことになってしまったのか。

 今年の元旦。私は朝起きて、おせちを食って雑煮を食って、酒を飲んで酔っ払って、寝た。 初日をこのように過ごすと、まあ三が日くらいはいいかあ、となってあとはずるずる。 怠惰の三が日が堕落没落の三か月になるなどたやすいことであって、もう新年度が始まってしまうというのに、 何やってるんだ、ボクは。と、部屋の隅で頭を抱えていたのですが、そこにひとすじの光明が。 それは、わが国にはこの「年度」という制度がある、ということでありまして、それによると、 一年は四月に始まるのであります。ということは、年度にしたがえば、 いま三月というのは年末なのでして、一年を回顧し、自分をほめ、 あるいは反省猛省して、次の年に向けて新たな決意表明をする時期なのであります。

 さあ、そこで私は4月1日に、「ホームページのオススメ本の紹介文を毎週一冊ずつ書く。必ず書く。絶対書く」と宣言いたします。 ただし、この日が年度の始まる日であると同時に、何の日であるかということを、よく考えていただきたいと思うのでございます。 と、いまから言い訳をしておいて、これが本当になる、という私自身への裏切りを期待しつつ本を読む、 年度末の日々であります。

白川宗道さんのこと

  • 吉江の日記
  • 3月24日 up

 白川さんが急逝されて1年余りが経ちました。「今度、僕はこういう本を出したのですが置いてもらえませんか」 とふらりと店にいらしたのがもう15年位前のことだったでしょうか。それが初めて白川さんにお会いした日でした。

 『白川宗道』と記された本と名刺をわたされたとき「アノ白川宗道さん?」とびっくりする私に 「僕のことを知ってる本屋さんが、あるんだ!」と大きな声で喜んでくれましたね。森茉莉さんのエッセイに <神様が私に贈ってくれた人>というフレーズでしょっちゅう登場し、お会いしたこともないのに、 きっときっとこんな人ぢゃあないかしら?と勝手に想像していたシラカワムネミチさんが目の前に。 晩年の茉莉さんのお世話をし、ずっと支え続けた白川さん、その人でした。私が茉莉さんファンだと知ると 自分の本のことはどこへやら、茉莉さんのことを一生懸命話してくださいました。

森茉莉全集刊行のときの小さなイベントも楽しかったですね。白石かずこさん、 矢川澄子さん、萩原葉子さん、茉莉さんの姪の五百さん(外の<渋江抽斎>の五百と同じお名前です)も いらして貴重なお話に夢中になりましたっけ。そしてその帰り際に「そのお洋服、 茉莉さんが見たらきっと褒めてくれたと思うのョ」と仰ってくださったこと、白川さんは覚えていますか ?濃紺色、ハイウエストで切り替えた丈の長いフレア、大きな襟のふちに白いリボンテープがトリミングしてある、 石津謙介さんデザインのシンプルなワンピースを私は着ていました。

 自らも句を詠み、文学を、人を愛し、興味あることをすぐに実行に移す行動派でもあった白川さん。 1年に数回お目にかかる程度でしかなかった私にも、面白くて楽しい計画をたくさん聞かせてくれましたね。 2006年の暑い暑い日、「来年の茉莉さんを偲ぶ会には絶対おいでよね」と何度も大きく手を振っていたお姿が 最期のお別れとなってしまいました。新宿のお店(白川さんはバーのマスターでもありました)にも行きますね、 という約束も果たせぬまま・・・。

 白川さんの訃報を知ったとき、あまりにぽかんとしてしまって悲しいという感情さえ湧きませんでした。 銀座で、あるいは荻窪の駅で偶然また会えるかも、なんて思ってしまうほどでした。あれからの1年、 私は茉莉さんのエッセイを開くことが出来ません。「白川宗道」という活字を見るのが怖いのです。 それを見てしまったたら白川さんはやっぱりもういないのだという残酷な事実が現実となって私に降りかかっ てきてしまうからです。

 でも今頃、白川さんは茉莉さんに「遅かったじゃないの」なんて言われながらまた茉莉さんのおそばにいるのでしょうね。 昔からの茉莉さんファンに加えて、ジャストタイムを知らない若い人たちの間でも茉莉さんの作品はちゃんと 読み継がれていることをお伝えくださいね。「そんなこと、私にはちゃんとわかってたわよ」と茉莉さんは言うかしら。

6月にはひとりで禅林寺に行こうかな、茉莉さんのご命日にはきっと白川さんもあの辺りに いらっしゃるような気がします。白川さんの優しさと暖かいこころに励まされた人はたくさん、 たくさんいることでしょう、私もそのひとりとしてお礼を言います、本当にどうもありがとうございました。

リニューアルオープンいたしました。

  • 吉国の日記
  • 3月10日 up

銀座教文館和書部がリニューアルオープンいたしました!

 大幅な店内改装は約10年ぶりになります。改装期間は1Fのフロアーはすべて閉じ、 エレベーターホールで営業するという苦肉の策を用いましたが、沢山のお客様にご来店いただき、 励ましのお言葉も沢山頂戴し、感謝感激です。こんなに愛されているなんて、本屋冥利に尽きるの一言です。

 さてこの期間、緊急事態宣言が店内には出され、通常の業務が滞りがちになるのを何とか 従業員一同でカバーしてきましたが、もう一度お店のあり方を考え直そうということで日記も 更新頻度をスローダウンすることになりました(そうでなくても最近はスローダウンしていますが・・・)。 今後は本当に有意義な情報を発信していける日記になるよう努めていきたいと思います。

 ところでこの時期、私たち書店人はどきどきしながらある発表を待っています。 そう、本屋に勤めている人は誰でも投票することのできるあの本屋大賞です。今ノミネートされているのは

  • 『悪人』 著/吉田修一(朝日新聞社)
  • 『赤朽葉家の伝説』 著/桜庭一樹(東京創元社)
  • 『有頂天家族』 著/森見登美彦(幻冬舎)
  • 『映画篇』 著/金城一紀(集英社)
  • 『カシオペアの丘で』 著/重松清(講談社)
  • 『ゴールデンスランバー』 著/伊坂幸太郎(新潮社)
  • 『サクリファイス』 著/近藤史恵(新潮社)
  • 『鹿男あをによし』 著/万城目学(幻冬舎)
  • 『八日目の蝉』 著/角田光代(中央公論新社)
  • 『私の男』 著/桜庭一樹(文藝春秋)

の諸作品です。どうです?みなさん読まれましたか?中でも近藤史恵の「サクリファイス」は当店の吉江が お勧めとして紹介しています。みなさんも、どれが大賞をとるか予想してみては?!

店内改装中の今日この頃

  • 吉国の日記
  • 2月25日 up

 現在当店はリニューアルのために改装工事中です。目印の銀座通り入り口がかたーく閉じられています。 中から引っ切り無しにドリルのものすごい音が・・・

 じゃあ、お店を開いてないかというと実は開店しているんですね。2F以上はもちろん通常どおり営業ですが、 1Fの雑誌コーナーもなんと営業しています。場所は同じビルのエレベーターホール。強引に雑誌売り場を作ってしまいました。 イヤーこんな力技にお客さんが付いてこれるわけがない。いや、売上は惨憺たるもんだろうなどと半分自嘲とも あきらめともつかないような悲観説が社内を駆け巡りましたが、いやいや、どうしてどうして。 なんとお客様は次々とご来店くださるじゃありませんか。

 正直嬉しくて本当に泣きそうでした。こんなにも教文館を信頼して愛してくださっている方々がいるんだなぁと分かって、 銀座で120年の歴史の重みをひしひしと感じています。我々もそれに出来るだけお応えしようと、 社内を駆け巡って在庫を探し回っています。どうぞお気軽にご来店ください。

 3月1日には入り口が大幅にイメージチェンジをします(実はあんまり広くはならないんですが・・・)。 より愛される店作りを目指して頑張りますのでどうぞご期待ください!

文学と地図

  • 伊藤の日記
  • 2月3日 up

 前回、国木田独歩の「武蔵野」冒頭の地図に触れましたが、今回は地図と文学のお話をいたします。 なんといっても、地図が好きな作家は文豪鴎外。森林太郎立案と記されている「東京方眼図」が出版されているほどです。 これは、地図の経緯というか、ある間隔で縦横に大きな網状に線を引き、索引からその場所が検索できるというもので、 今なら学校で使う地図でもこの方式をとっています。

 そのぐらいならまだしも、鴎外流「三四郎」である「青年」の冒頭で、「小泉純一は芝日蔭長の宿屋を出て、 東京方眼図を片手に人にうるさく問うて、新橋停留所から上野行きの電車に乗った。」と書いちゃってますから、 自分の立案した地図をちゃっかり自分の小説で宣伝しているわけで、いかめしい顔の割には茶目っ気まで感じられます。

 戦前は陸軍参謀本部陸地測量部の5万分の1の地図を使うことが多かったようで、泉鏡花の 「高野聖」(岩波文庫部・新潮文庫)の冒頭でも、「参謀本部編纂の地図をまた繰開いて見るまでもなかろう云々」と、 折本にした地図を見る場面があります。

 野鳥を愛した中西悟堂(悟堂については新潮選書「」がおすすめです)の歌集「安達太良」には 「槍ヶ嶽のいただきにきて見放<みさ>くるは陸測二十万図九枚の山山という、日本アルプスからのはるか遠くまでの 眺めを地図の枚数で表現しています。

 戦後でも慣れ親しんだ5万分の1地図を見る歌が、アララギの大御所土屋文明にはあります。 「五万分一図右下の四半分わが恋かかる道に流れに」老大家が初恋を偲ぶようでほほえましですね。 二人で逃避行するわけでもないから、地図の四半分に思い出があふれているんですね。

日々接客修行中

  • 吉国の日記
  • 1月31日 up

 最近、私あまりお店にいません。なじみのお客様に「いつもどこ行っちゃってんの?」 なんて言われちゃいます。いや、毎日お店の中にいるんですがね。誰にも見えない小部屋で 一人せっせかと今流行りのネットショップを営んでいるんですよ、はい。

 でですね。ネット上でお客さんとのやり取りをするわけですが、これが店頭での接客とは だいぶ勝手が違うのです。基本的に私は人の顔を見るのが大好きなので、お買い上げいただいたお客様が ニコッと微笑み返してくれると、まあそりゃ天にも昇るか、ブタが木に登るかってくらい嬉しくなっちゃうわけです。 ・・・・当たり前ですが、ネットショップにはそれがないんだなぁ。

 それでかなり緊張しながらパソコンの前に座ってます。今のところアリキタリな マニュアル対応に終始していますが、お客様のお顔が見えなくても接客の極意があるはず!と思って手にしたのが 「あなたが担当でよかった!―クレームが“感謝”に変わる最強の心理学」(中村友妃子著) という本。出版されたのは2004年だから実に4年も前の本ですが、この手の接客本では久々に 読み応えのある実用書でした。基本的には電話クレーム対応のノウハウ本との事ですが、 いやいやどうして。お客様が抱える「心の事情」に応えることが「顧客満足」更に進んで 「顧客感動」につながるとの体験的ノウハウは読んでいて大変ためになりました。 実店舗あろうがバーチャル店舗であろうがお客様をお迎えするのは真心なんですよ。ま・ご・こ・ろ。

・・・・・・・・・・・・・・・・うわー、自分で言っててテレテレですな。 (●´ω`●)ゞ まだまだ日々接客修行中。ちょっとした心の機微にお応えして行けるよう頑張ります!!

芝居と小説

  • 吉江の日記
  • 1月28日 up

 先日、平田オリザの「火宅か、修羅か」の12年ぶりの再演を見ました。平田さんが主宰する劇団(青年団) は駒場東大前駅近くのアゴラ劇場を本拠地とし数々の話題作を提供し続け25年経ちます(アゴラ劇場は86年から)。

 ほぼ創立当時から拝見しています・・・、などと書くとまるで<すごく詳しい!>かのように聞こえますが、 実は古い劇団員のSさんと30年近く前からの知り合いなので義理で行き始めた、というのが本当のところです。 はい、すみません。それまで生(なま)の芝居といえば歌舞伎の他は、せいぜい母のお供で明治座くらいの 体験しかなかったので青年団は新鮮を超越し目がテン(死語)。まず、場内に客入れが始まった時点で 役者さんたちはすでに舞台上にいて『演じるでもなく演じないでもなく』(を演じているのですが。ややこしい!) 本編に入る前のシーンを創っているのです。客はその様子を眺めてもよし、パンフレットなどを読んでいてもよし、 自由です。そして、いざ芝居が始まると登場人物があちこちでセリフを言っているのです。そう、 フツーの日常をそのまま切り取った光景がポンと舞台に乗っかっているカンジ。

 確かに、一家団欒の場でひとりづつ順番に発言するなんてことは実際にはありえません。 キッチンハハが「今夜はナットウとメザシね」と言えばムスメは「えっ、ださっ!」とブーとしているだろうし、 同時にリビングではチチとムスコが「アデバイヨールのヘディングだよな」、「やっぱギャラスだろー」と珍しく 意気投合しているだろうし。しかし<お芝居>とはA→B→C→B→D→A→D・・・とか順々にセリフを 言うもんだろーよ、という思いしかないワタクシは「いったい誰のセリフを聞けばいーのだ!?」 歌舞伎の「御所五郎蔵」のように花道と仮花道を華やかに使って渡り台詞を言っているのであれば左右に 顔を動かして仁左衛門さんなり左團次さんを見ていればいいわけですが、青年団ときたら同時に! 複数が!しゃべってますから。結局あちらこちらのセリフを細切れに聞きかじっているうちに終わってしまったという、 さっぱりわからん謎のひととき。

 ところが、その後、何回(難解?)も観るうち、いつのまにか違和感なく入り込めるようになっていたのです。 「全部の会話を聞こうとしなくなった」からです。客席に座ってはいても 「たまたま自分がそこに居合わせたひとり」であれば溢れ出る会話を受け取っても受け流してもいいわけです。 (もちろん青年団の役者さんたちの素晴らしい演技力あってのことですが) よく考えたら「なかなかないだろ、こんなこと」な出来事を「どこでもあるだろ、こんなこと」と自然に思わせてしまう技量。

 シリ・ハストヴェット(作家でありポール・オースターの妻でもある)が 「小説とは決して起こらなかったことを思い出すこと」(「柴田元幸と9人の作家たち」アルク刊) と語っていましたが、作家のそういう罠にはまって、本好きがどんどん増えたらいいな~と。 ただ自分はといえば年とともに(深くかんがえているわけでもないのに)余計な思いがチラつき、 「この本はこういう読み方でいーのだろうか?」と彷徨うことしょっちゅう。 このお芝居を観たあと、「火宅の人」(新潮文庫・上下)、「壇」(新潮文庫)を再読したくなりました。

 余談ですが、1月13日のアゴラ劇場で開演前、教文館のブルーのカバーがかかった文庫本を読んでいらした アナタに。ウチから旅立った本のその後をピンポイントな場所で見かけて嬉しかったです! 口には出さずお買い上げありがとうと感謝しておりました!

少年易老学難成

  • 伊藤(丈)の日記
  • 1月24日 up

 背後でパタンと音がする。どんなに戻りたくても決して開くことのできない時の扉の閉まる音。 2007年が終わり、一月ももう残りわずか。またひとつ小さな扉が閉じつつある。 目標に掲げながら果たせなかったことが積み上がる。行動をためらったが故に悔いた記憶に苛まれる。 ああ、だれかこのむなしい過去を慈愛の言葉で慰めてくれ。あとどれだけの扉をこのまま通過するのだろう。

 ああ、誰か来るべき空虚な未来に光と安らぎを与えてくれ。 とまあ、メランコリックでペシミスティックな気分にまかせて日記を書くとこんな具合になるのだが、 心の中はなかなか複雑。一方で、今年はどんな本が出るのか、何がベストセラーになるのか楽しみだし、 そろそろまた大量の新刊が運び込まれてくるだろうが、いくらでもかかってきやがれ、といった思いが確かにある。

 こういうのは取りも直さず心身の不安定さの表れで、長年の課題であり悩みでもある。 15年程前からケン・ウィルバーの一連の著作やクリシュナムルティの「自我の終焉」を中心的なテキストとして、 1日1ミリでも前進して心や体のパズルを解いていけたら、ともがいているが、いたずらに時は流れ、 一向に心は定まらない。「急げば急ぐほど遅くなる」というのは、エンデの「モモ」の中で 主人公の少女が時間泥棒から逃げている時に、賢い亀から教えられた言葉だったと記憶する。 分かっちゃいるけど難しい。今日も朱喜の言葉が頭の片隅で電光掲示板のようにチカチカと明滅している・・・・ 「一寸の光陰を軽んずべからず」

夢のあるはなし

  • 津田の日記
  • 1月17日 up

 今年もよろしくお願いいたします。年が変われば、この日記もなくなるだろうとおもったのに、 やはりそういうわけはなく、順番がまわってきました。今年は四苦八苦することなく、 ヒタスラにこなしていきたいとおもいます。が、すでに締めきりオーバーで再三の催促、 会社に出勤すると猛獣に追われているような気分になってしまい、それを打ち消しながら仕事にはげむも、 ふとしたすき間に被猛獣気分が入りこみ、人生の先行きにまで不安を感じる始末で、これではいかんと叱咤激励、 「成せば成る」とトイレで絶叫まではしませんが、ほんとにこのままではいけません。 毎回のことながら「書店人日記」が「書店人日記を書く日記」に変わってしまい、これも反省すべきことで、 よし、一念発起、グダグダ言ってないで新年にふさわしく夢のあるはなしをしよう、ってどんな?初夢のはなし! 思い出せない、書店員としての夢!そんなのない、将来の夢!ますますない……三時間経過、やっと見つけました。 やっと幕があがります。

 すこし時間がもどって、師走の十二月。家の本棚に長いこと置きっぱなしで未読の『深沢七郎集第一巻』 という本があり、理由はなくただそうしようとおもい、取りだして読んでみました。 昭和五十年代生まれのわたしには、深沢七郎というひとが小説家としてどれくらい有名だったのか、 どれくらい読まれていたのか、どれくらい本が売れていたのか、作品がどのように受けとめられていたのか、 往年のことはまったくわかりませんけど、なにか気になり、十年くらい前に『楢山節考』(新潮文庫)を読んでみて、 しばらくのち全集に近い『深沢七郎集』(全十巻・筑摩書房)が出ているのを知り、前に読んだときに変な 感じがしたのをおぼえていたので、その第一巻を買って、それから数年。というのがことの経緯で 、師走の十二月にその本をゲラゲラ笑い読みながら日常をおくっていたのです。

 平穏な日々に変化がおきたのはそれからでした。朝起きて、みていた夢の感じがまだ頭のなかに残っていて、 その夢を反芻していると、いつもとちがう。なにがちがうのか。夢が変だ。変な夢ではなく夢が変。 わかりやすく説明すると「変な田中ではなく田中が変」(田中は任意)。田中さんはもともと変なひとではないけれど、 最近その(変ではない)田中さんになんらかの変化がおこってなんだか変、ということです。夢のなかでおこることは もともと日常の常識や論理、関係におさまることなく、あたりまえのことがねじれていたり、おもわぬものが くっついていたり、おかしなものです。そうなんです。しかし、そのおかしさの質がいつもとちがう。おかしさ 具合がおかしい。くどいですけど、おかしな夢をみたのではなく、夢のかたち、夢全体にとても大きな力が 加わって夢ごとそっくり変形してしまったかんじ。みた夢のなかみをすでに忘れてしまっているので、 具体的にこうこうこうでこうと説明できないのが申し訳ないですけど。

 さらに、そういう状態が何日も続きました。そこで、おもいあたったのです。 もしかして『深沢七郎集』を読んだことが原因なのかも。深沢七郎の生理が、 わたしの頭のなかをかきみだしていつもとちがう状態にしてしまったのかも。唐突で、強引で、 都合がいいとおもわれるかもしれませんが、ほかにおもいあたらないのです。

 でも、なぜこんなことを書こうとおもったのでしょうか。こういう体験がはじめてだったからでもあります。 読んだ本が睡眠中の頭のなかにこんな風に影響するのかとびっくりしたからでもあります。 あくまで推測ですけど。しかし、具体的な夢のはなしを披露できないので、 どういう風に説明しても伝えたいことが伝わらないだろうなぁと、暗然とした気持ちになります。

 偶然ですが、同じ十二月に読んだ本のなかに、このことと関係があるような、 ないような箇所をみつけたので紹介します。哲学者木田元のエッセー集『哲学の横町』(晶文社)に 「眠りながら考える」という文章が収録されており、どうやらわれわれは、 眠っているあいだもどこかでものを考えているらしい。と書きはじめて、以前執筆中に この仕事、わりに順調に進み、(中略)あと七、八十枚というあたりまできたころのこと、 朝目が覚めると、とたんになにか閃くようになった。たとえば昨日書いたあの部分はこう書いた方がいいとか、 あれを書く前にこれを書いておかなければ話がつながらなくなるとか、そんなことが頭を過ぎるのだ。 それが、思いがけない視角からの実に適切な指示なのである。気を張って原稿を書いているとき、 目覚めたとたんになにかを思いつくといったことは、これまでもあった。 だが、それが一週間もつづいたのははじめてである。とありました。

 わたしの体験と逆のパターンです。しつこいですがもう一冊。舞城王太郎『阿修羅ガール』(新潮文庫)より、 主人公の女子高生が夢のなかで好きな男子の顔が思い出せずに目覚めたあと、 起きている時にちゃんと憶えていることを寝てるときに忘れるなんてありえんの? 頭ん中に入っている脳は一つなのに、寝ているときと起きてるときと、まるで別物みたいだ。 でも実際そういうことなの?寝てるときと起きてるときじゃ脳は別物なの?それとも脳は二つあるの? 寝てるとき用と起きてるとき用と?いやありえないしそんなこと。 多分寝てるときには脳も働きが鈍って簡単なことも出来なかったりするんだろう。とありました。

 これはわたしの体験と反することです。なにがなんだかわからなくなってきましたが・・・ 『深沢七郎集』二巻目以降も読んでみようかな、でもお金がないなぁ。 もしご興味をもたれた方は試してみてください。

チャレンジ2008年

  • 岩本の日記
  • 1月2日 up

 若い頃の不摂生がたたったのか、50歳過ぎてから見事にメタボに。ダイエットもなんだか面倒だし、 せめて本でも読んで脳のシェイプアップを!そのせいか、最近少々本読みのスピードも上昇、 読書欲も弱冠アップへ。部屋の片隅にある積読本から、新刊まであらゆるジャンルにチャレンジ。

 チャレンジといえば、無謀なチャレンジで某国立大に奇跡的に合格した長女。 その学園祭に行ってきました。11月23日。祝日、そして快晴。この学園祭は今年で85回目で、 なんと5日間(11/21日~11/25日)の長丁場。

 キャンパス中庭には特設の各国料理店(屋台)が円状に並び、 26専攻地域の代表的な料理が格安で提供される。毎年、一年生は屋台の料理を受け持つのが恒例。 (2年生はそれぞれの専攻語学劇とか)

 ちなみに26カ国とは「チェコ、トルコ、インドネシア、スペイン、 フランス、ベトナム、マレーシア、ラオス、ポーランド、カンボジア、ロシア、ドイツ、日本、 中国、アラビア、ヒンディー、朝鮮、フィリピン、英語(英国)、ウルドゥー、ポルトガル、ビルマ、 タイ、ペルシア、イタリア、モンゴル」実はこれが、どれも美味しくハズレなしにはびっくり! 毎日通えばなんと「食の世界一周」が可能に。

 参加者は大学生はもちろん高校生も、実は家族連れが思いのほか目立った。大盛況でした。 とりあえず、こんな調子ですが、書店人日記としては?なので、次回からは書店人らしいモノを書きましょう!