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アメリカの出版社ドーバー(DOVER)社が、最近続けて出している“Children’s Classics”――以前にH.A.レイとアーノルド・ローベルの本をご紹介しましたが、この度ルドヴィッヒ・ベーメルマンス(『げんきなマドレーヌ』の作者)の本が新しく入荷しました。このシリーズは何作かの絵本を合本にしたタイプなのですが、今回まとめられている3つのお話は比較的地味なものなので、もしかして読んだことのない本があるかも…。
1作目は『山のクリスマス』(原題は“Hansi”)で、日本語版は岩波書店から1953年に光吉夏弥さんの翻訳で出版されたロングセラー作品です。日本語版はこの表紙がなんとも…なのですが、お話はとても素敵なので、ナルニア国ではクリスマスの時期には必ず平積みしてご紹介しています。2作目は邦訳が出ていない作品で、ピンクのウサギが主人公の“Rosebud”というお話、絵の雰囲気は『ヌードル』に似ています。3作目は『バティストさんとハンガーブルグ=ハンガーブルグ伯爵のおはなし』(江國香織訳/BL出版/1300円+税)の原書(原題は“The Castle Number Nine”)――『山のクリスマス』も『バティストさん』も、絵本というにはお話の長さもかなりたっぷりあるので、絵はもちろんベーメルマンスの物語世界を味わいたい方には、この秋の夜長に洋書に挑戦というのもよいのではないでしょうか?

“Ludwig Bemelmans FAVORITE STORIES” 2400円+税