kenpoutokimitati
この本の著者・佐藤功は、日本国憲法制定に関わった憲法学者です。この佐藤氏が1955年に子どもに向けて「憲法とは何か」を易しくわかりやすく記したのが『憲法と君たち』という本なのです。
憲法の難しい条文や内容を今わかる必要はないけれど、本質を子どもたちに分かるように伝えたいという静かで強い思いが言葉の端々から感じられます。人間社会の成長にともなって、憲法も成長してきたという歴史については、大人もなるほどと思うところがあるのではないでしょうか。今の日本国憲法が生まれた背景には、明治憲法(大日本帝国憲法)の元で戦争へと走り、国内外に多くの犠牲を出したことへの反省と、「戦争はもう二度といやだ!」という国民の強い思いがあったことも分かります。そして第4章の“憲法を守るということ”では、私たちが今直面している政治の問題について(61年前の文章とは思えないほど、今の世の中を言い当てています)、非常に率直な言葉で語られています。大人が子どもに向けて真剣に語ろうとするとき、それは自然と根源的なものにならざるを得ないのであって、だからこそ古びないのだということを『憲法と君たち』を読むと改めて感じます。ぜひ皆さん、この本を読んでください。きっと「憲法が君たちを守る。君たちが憲法を守る。」という佐藤氏の言葉が胸に響いてくることでしょう。
★ちなみに、佐藤功氏は児童文学作家さとうまきこさんのお父さんだそうです。ビックリ!!

『復刻新装版 憲法と君たち』佐藤功著/時事通信社 1200円+税