toukibi
3月に刊行された『父さんたちが生きた日々』に続いて、今月も“日・中・韓平和絵本”の第9弾が出ました。今回は韓国の作家による絵本です。詩人のクォン・ジョンセンが小学生のときに書いた詩に、キム・ファンヨンが絵をつけました。献辞に「戦争と空腹のために苦しみながら死んでいったすべての子どもたちに、この本をささげます。」とあるのが、胸にささります。
ぼくがお兄ちゃんと庭に植えたとうもろこし、大きくなるのを楽しみに待っていたのに、戦争が彼と家族から全てを奪いました。何もかも置いて身一つで逃げた男の子は、夜、見知らぬ土地でとうもろこし(とうきび)のことを考えます・・・。

男の子の姿は決して“昔のかわいそうな子ども”ではありません。私たちは、過去にこのようなことがあったことを忘れてはならないのと同時に、今現在も戦下にいる子どもは同じような体験をしているのだということを肝に銘じなくてはなりません。

『とうきび』クォン・ジョンセン詩/キム・ファンヨン絵/おおたけきよみ訳/童心社 2200円+税