いや、もー参りましたね。
なにがって、アナタ、「猿之助襲名公演」ですよ!
油断したーーーっ、く~~~っ!
結局チケットまったく取れなかったンですけどーーーーっっ!!
亀が猿になる舞台を生(なま)で観れないなんてーーーっっ!!
ずっと品切れになっていた、亀ちゃんのエッセイ『カメ流』の重版出来、入荷しました。
後にも先にも<市川亀治郎>の名前でのエッセイはこれ1冊。
お持ちでない方は買うしかないでしょう。だっていづれ
「ひゃあ~、猿之助、若~い!亀の頃からすごかったのよねぇ~」
とページをめくる日がくるんですから。
その昔、初めて猿之助(当代。6月に猿翁襲名)の狐忠信の宙乗りを観た時、
まさにボーゼンとしてしまった。
「猿之助の千本桜は3階席で観た方がいい」という姉のアドバイスで、
友人とちょこなんと3階席に座ったあの日。
『出があるよ~』、
チャリン(あげ幕)、はっ、誰も出てこない!舞台上にいつのまにか狐が転がり出てくる!
この場面、何度見ても好きだな~。
早がわりや欄干渡りに場内沸き立つ中、いよいよクライマックス。
ええええええ~~、こんなとこまで昇ってくるのぉぉぉお~?!
鼓(親狐が皮はがされて鼓になっちゃった設定。結構残酷、がーーーん!)を手に喜ぶ狐は
全身でその喜びを現す。
吊ってるワイヤー切れんぢゃねーか?とこちらがびくびくするくらい、跳ねる、飛ぶ!
手が届きそうなところで狐は無邪気に激しく揺れている。
「ちょっとぉ、あたし、猿之助と目があったもんね!」
「違う、あたしだもん、こっち向いてたもん!」
「ううん、あたしだよ、にこって笑ったし!」
その何年後かに亀治郎の狐を観た時、同じ面子で同じことを言っていたように記憶している。
「ちょっとぉ、あたし、亀治郎と目があったもんね!」・・・・。
亀治郎さんの芝居を見続けていると、これが「澤瀉屋」なんだなぁ~とつくづく感じる。
なんといっても、自分のなかで消化し、亀流にして吐き出す才能が半端ぢゃない。
亀流がプラスされると、どんな役でも期待せずにはいれらない。
今までとは違うものをそこに見出せるからだ。
「大地」「海」空」の章に分けられたエッセイは発売当時の2008年の亀治郎の姿。
進化し続けてきた(し続けていく)亀治郎はすでにまた別の顔で活躍している。
変わらないもの、変わっていくもの、変えるもの、変えないもの。
自分の名であって、自分だけの名ではない襲名。
四代目猿之助はどんな猿之助になっていくのかな。楽しみは尽きない。
「カメ流」市川亀治郎 角川書店(税込2000円)