大好きなカズオさまの「わたしを離さないで」が遂に映画化、一般公開!!だーーーーーーっっ!!
あの世界を画像にすると。。。いや、出来るのか?と 疑問でしたがカズオさま自身が総指揮にあたるし、 キャリー・マリガンが主人公キャシー・Hに抜擢された時点で、ん?いいかも?って急に楽しみになりました。結果!想像以上によかったです、大健闘! 「この場面はカットしないで欲しかったな」と感じたところもありましたがさほど気になりませんでした。
あり得ない設定であるにも関わらず、そこに違和感なく存在するへールシャムという特殊な世界、疑問をいだくことさえないへールシャムの子供たちがごく当たり前のように 淡々と描かれていく。ある<秘密>さえなければ普通の学校となんら変わりはないようだがあちこちに見え隠れする異様な光景。 自由がないどころではない、将来がない自分の人生をそれでも生きなければならない矛盾、彼らの犠牲の上に命長らえた人間がいづれ行くつくところも同じ<死>であるというのに。 そこに何の違いがあるというのだろうか。
死生観、価値観、不条理・・・、この感情のはけ口などあるはずもない。それでもキャシー、ルース、トミーはそれぞれ表現は違えど健気に純粋に生きる、哀しいまでに純粋なのだ。
キャリー・マリガンは激昂するでも絶叫するでもないキャシーの内面を見事に演じきっていました、いいなぁ、この人。
映画を先に観た方、原作をお読みになることを激しくおすすめします!感動がさらに深まること間違いなし!カズオ・イシグロの最高傑作といわれる由がおわかりいただけます。
(前回のブログで翻訳家の渡辺順子さんと一緒に観まっす!っと言いましたが今はこのような不確定な毎日のためひとりで観ました。)

「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ 早川epi文庫(税込840円)