子育て中のお母さん・お父さんを応援する育児書はたくさんありますが、児童文学作家のこの方を忘れてはいけません。『ぐりとぐら』の著者・中川李枝子さんです。
ご自身が本が大好きで、戦時中に大事にしていた「アンデルセン童話集」を友だちに貸したところ学校で取り上げられてしまい二度と戻ってこなかったことや、戦後岩波少年文庫を夢中になって読んだ話、保育園の保母さんとして子どもたちと遊びながら様々な体験をされたことーー色々なエッセイの中から見えてくるのは、本と子どもを愛して信じてきた、中川さんの揺るがない心です。
『子どもはみんな問題児』というタイトルを見て、小学生の女の子が「ヒド~イ!」と言ったのを耳にしましたが(笑)、これは中川さんの子どもたちの自由な精神を誉めたたえる最高の賛辞だと大人にはわかります。そして本の中から優しく語りかけてくる言葉は、子育てにちょっと疲れているお母さん・お父さんの心に寄り添ってくれるものです。現役子育て世代だけでなく社会全体で子どもたちを見守っていくために、あらゆる世代の大人の方に読んでいただきたい(そして読んで楽しい)、中川李枝子さんのエッセイをご紹介するミニフェアです。

『子どもはみんな問題児』新潮社/1000円+税
『ママ、もっと自信をもって』日経BP社/1200円+税
『本・子ども・絵本』文春文庫/680円+税
★最新刊『のこす言葉 中川李枝子 本と子どもが教えてくれたこと』平凡社/1200円+税