6月下旬からちひろ美術館と共同で開催予定の“赤羽末吉生誕110年記念展”――教文館ウェンライトホールに展示されるメインの絵本はこの『スーホの白い馬』です。残念ながら教文館の展示は肉筆の原画ではなく、原画の色合いや質感を丁寧に復元したピエゾグラフ(複製画)の展示となります。これは原画の保護のために必要なことですし、決して本物と比べても見劣りするものではありません。印刷や複製の技術はもう人間の目では判別できないところまで進んでいるのですね~。
ピエゾグラフではありますが、今回はこの絵本の全場面を展示する予定でいます。1967年の出版当時としては異例の判型(横長に大きい!)とページ数(48ページと通常の1.5倍)で作られた『スーホの白い馬』を、ひとつながりの物語としてじっくり見ていただく機会はそうそうないはず。子どもの頃に好きだった人もきっと当時の感動がよみがえるに違いありません。

そしてさらに貴重なのはこの作品を作るのに非常に重要な体験となった、1943年のモンゴルへの旅(チンギスハン廟内の壁画制作のための取材)で赤羽末吉自身が撮影した写真を合わせて展示することです。写真と絵本を合わせてご覧いただくことで、より深く『スーホの白い馬』の世界を体験していただけるのではないでしょうか。どうぞご期待ください!!!