ベスト👍エッセイ
『絵本のなかへ帰る』
高村志保 文/きくちちき 表紙挿絵
岬書店 刊
2021年2月16日 発行
定価1650円(税込)
158ページ
対象:大人向け

絵本がある幸せと本屋がある豊かさと

絵本のエッセイは数々あれど、久しぶりに心に届く言葉が詰まった本に出会いました。
著者は、長野県茅野市にある知る人ぞ知る「今井書店」二代目当主高村志保さん。
幼い頃から初代当主であったお父さんにたくさんの絵本を読んでもらった高村さん。
自分の人生を振り返りながら、その節目節目に出会った27冊の絵本と本を紹介します。
どのエピソードも良いのですが私が一番印象に残ったのは、『おおきなかぶ』にまつわるお話。
一人息子さんがまだ小さかった時、高村さんは絵本を我が子を「賢い子」に育てるための「道具」にした時期があったとのこと。
それをガツンとやっつけてくれたのが、当時の息子さんと『おおきなかぶ』だったというお話を読んで「なんて正直なエッセイなんだろう」と親近感すら覚えました。
とかく、「優等生」の言葉がズラリと並ぶ絵本エッセイの中にあって、ピリっとくるようなエピソードも交えながら語る高村さん。でもそこから感じるのは、絵本と本が運んでくれる地べたに足の着いた豊かさと幸せです。

こんなにも本を愛する当主がいる書店が在ることは、地域をどれほど豊かにしてくれることでしょう。
街の書店が次々と姿を消す中(大都市もです!!)やはり皆さんにお願いしたいことは「ポチッ」ではなく、リアルな地元の本屋さんを応援して欲しいと言うことです。
翌日届く便利さより、手に入れる手間と届くのを待ちわびる幸せな時間を取り戻してほしい。
このエッセイを読んで、そんなことも強く感じました。
あ!もし地元の本屋さんで手に入らないときは、ナルニア国でのご注文もお待ちしております!(く)

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