ベスト👍  ノンフィクション
『ポストコロナ期を生きるきみたへ』
内田樹 編
晶文社 刊
2020年11月15日 発行
本体1600円+税
306ページ
対象:中学生から

20名の識者がおくる中高生への「生き延びるための知恵」が詰まったメッセージ!

コロナ・パンデミックにより変わってしまった世界。矛盾に満ちていることがはっきりと露呈してしまった今、これからをどう生きていくのか? そのための考え方(道すじ)を5世代の20名の識者がそれぞれの専門の立場から示している。
さまざまな活動をする武道家であり思想家の内田樹氏が扇動を切る。
寄稿者へ出したという手紙が「まえがき」で紹介されており、ここを読むだけでも本書の目指すものがはっきりとわかる。そのなかで一番共鳴したのが「中高生を対象に書くと、話が根源的にならざるを得ない」という部分。そしてそのことを内田氏は「楽しい」という。わたしはここを読んだだけでこの本は信頼に値する、と思ってしまった!
なぜなら、そもそもの話をしてくれる人はなかなかいないからだ。

そして執筆陣の豪華なこと! 今をときめく斎藤幸平氏にはじまり、後藤正文氏、平田オリザ氏、鷲田清一氏等々。通読して感じたことは、みなさんの見えている景色はとても似ているということ。結局、現在の資本主義経済世界は閉塞感しかないのだ。
なかでも思わず涙したのが後藤氏の一文。「~君がたった今、誰とも話が合わないことに悩んでいるとしても、君が美しいと思うことを、素晴らしいと思うことを、格好いいと思うことを、何らかの集団に属するために、作り笑いでやり過ごすために、無理に変えないでほしい。誰かに否定されても、簡単に取り下げないでほしい。」
中高生のころにこんな言葉に出会えたら未来はきっと変わるに違いないと思う。

中高生へ向けてのメッセージだが、どれも今を生きる人にとって魅力的な言葉がいっぱい詰まっている。ぜひ多くの人に手にしてほしい。 (す)

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