ベスト👍 ノンフィクション
『アースダイバー 神社編』
中沢新一 著
講談社 刊
2021年4月20日 発行
定価2420円(税込)
366ページ
対象:中学生から

神社という日本の聖地には、人間の精神の秘密にかかわる多くの謎が、ほとんど手つかずのまま残されている…

「アースダイバー」シリーズ、最新作は聖地ともいえる神社にスポットをあてたものになりました。今作も知的好奇心を刺激する内容です。
アースダイバーとは、かなり簡略して説明すると「縄文時代の地図を現代に重ねてみること」です。そうすると、見えにくくなってはいるけれど現代にもクッキリと古代の息吹を感じるというのです。例えば、縄文時代の岬(聖地)のあった場所に必ずといっていいほど神社や寺がある、というように。

本書では諏訪大社、出雲大社、伊勢神宮などに今も伝わる祭儀に秘められた思考をたどります。すると、何の関係もないように思えるアメリカ先住民やネパール、東南アジアなどとのつながりがが見えてきます!
そもそも人の思考とはどういう経路をたどっているのかに迫ってくる論は、読んでいてわくわくしっぱなし。時折、難解な記述もあるけれど、それはそれ(笑)。

山とは、海とは何なのか…、無意識の意識をつかむような1冊です。
人って根本的には大昔から変わらないのだな~というのが率直な感想。縄文時代の意識に、知らぬ間に引っ張られていると思うと不思議な感覚に陥ります。

「カイエ・ソバージュ」にハマってかれこれおよそ20年(!)。それから著者の本をあれこれ読んできていますが、中沢新一氏の真骨頂ともいうべきものかと思います。 (す)

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