ベスト👍 絵本
『もりはみている』
大竹英洋 文・写真
福音館書店 刊
2021年9月30日 発行
定価990円(税込)
24ページ
対象:幼児から

“ぼくが森を見ていたのではなく、森に見られていたのだ”

北米ノースウッズをフィールドに活躍する写真家、大竹英洋氏による写真絵本がようやくハードカバー化されました! 本書は月刊誌「こどものとも年少版」として2015年に刊行されたもの。
これまでに「たくさんのふしぎ」シリーズで『ノースウッズの森で』『春をさがして カヌーの旅』が単行本化されています。また初の本格的写真集、20年の集大成ともいえる『ノースウッズ 生命を与える大地』(クレヴィス)にて第40回土門拳賞を受賞されました。

さて本書は……静かなノースウッズの森が舞台。誰もいない、何もないかと思いきや、松の木の巣穴の奥からアカリスが見ている。杉の梢の影からはゴジュウカラが見ている。それからヤマナラシの木の枝の上からコグマの兄弟が、夕暮れの木立の向こうからトナカイが見ている……。じっとこちらを見つめる動物たちの視線はまっすぐで、本当に森で出会ったみたいな心地になります。明るい森から夕闇、夜の森へとの流れも自然です。

コントラストの美しい写真は、いきいきと野生の動物をとらえています。たぶん、月刊誌のときより写真印刷はきれいになったような気がします。違うかな?
小さい子から本物の写真に親しむよい機会になるでしょう。森に吹く風までも感じられる、すてきな1冊です。

よく「待望の!」という謳い文句を見ますが、本書は文字通り「待望のハードカバー化」です(笑)。他にも月刊誌で出ていた作品があるので(現在入手不可!)、これに続いてハードカバー化してほしいものです。 (す)

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