ベスト👍 ノンフィクション
『46歳で父になった社会学者』
工藤保則 著
ミシマ社 刊
2021年3月22日 発行
本体1800円+税
239ページ
対象:中学生から

子どもとの日常を丁寧に綴った7年間の記録

妻と子どもとのさりげない日々の暮らしを実に丁寧に綴った1冊。45歳で結婚、46歳で親となった著者の率直な想いが伝わってきます。決して押しつけがましくなく、とってもさりげない文章は読みやすくて、スルスルと読み手の心に入ってきます。

大学の先生であること(会社勤めではない)、46歳(決して若くない年齢)で親になったことがプラスに働いていると思いますが、この著者のようにゆっくり子育てができたらみんなもっとハッピーになれるのではないか、なんて思いました。自然体で子どもに関わっているかんじがよく伝わってきます。もちろん、当事者としてはさまざまな悩みや迷いもあるのでしょうが、それすらも楽しみに変換しているようなかんじ。

なかでも共感したのが、子どもと本のかかわりかた。『かおかおどんなかお』(こぐま社)や『しょうぼうじどうしゃ じぷた』(福音館書店)をどんな風に楽しんだかが綴られています。そして、子どもの本の楽しみ方の考察として『子どもと本』(松岡享子著、岩波書店)からの引用で締めています。それがとても的確! このように子どもと本を楽しんでくれたら、という見本のように思えました(ちょっとエラソーですみません)。

(父)親になる人がみんな、この著者のようにできるわけではないのでしょうが、こういう生き方もあるってことを広く知ってほしいですし、いろんな人に手にしてほしい1冊です。なんだか元気になれます。 (す)

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