クリーンヒット⚾  フィクション
『父さんが帰らない町で』
キース・グレイ 作
野沢佳織 訳
金子恵 絵
徳間書店 刊
2020年4月 発行
本体1,400円+税
136ページ
対象:小学校中学年以上

ーー思わず背筋が凍る話

時々、「小学校中学年ぐらいの子どもが読める怖い話はありませんか?」というご質問を受けますが、実はご紹介できる作品はあまり多くありません。それも幽霊が出てくるものとなると、これがなかなか難しい……。

そんな中、この春に出版された『父さんが帰らない町で』は兄弟の確執や父親への思いを少年の恐怖体験を織り交ぜながら描いた作品で、短いストーリーながらも少年の心の機微がよくまとまっています。
読書をしない子どもだった作者がウェスト―ルの作品に出会って夢中になり、作家を志すようになったといういきさつはウェスト―ル好きにはうなずける話で、確かにこの作品にもウェスト―ルの作風を髣髴させる場面がいくつかあります。

舞台は1922年のテキサスの小さな町。戦争が終わって何年もたつのにまだ帰らぬ父さんを待つぼくは、暑い夏の日、町にやってきたカーニバルに出かけます。そこで入った「恐怖の館」で見た兵士のろう人形から目が離せなくなったぼく。そしてその晩、兵士が部屋にやって来て……。

続きはどうぞ本の中で。 (い)

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