今日は75年前に初めて人類に対して原子爆弾が使われた日です。あの日のことを書いた作品は数々ありますが、今回は少し違った視点から核兵器について考える本をご紹介します。

『スノーマン』のレイモンド・ブリッグズが描いた絵本『風が吹くとき』(写真左)は1982年に出版されたロングセラー絵本です。子どもの頃に読んで本当に怖かった思い出があります。核兵器反対を声高には訴えませんが、目に見えない放射線の恐怖を目に見える形で突きつけるこの絵本には、どんなスローガンより強いインパクトがあります。
これまでにもたくさんの伝記絵本を作ってきたジャネット・ウィンターが、2017年に発表した作品『この計画はひみつです』(写真右)は、アメリカで第2次大戦中に核兵器の開発に従事した科学者たちのことを描いた作品です。巨大なキノコ雲の後にあるただ真っ黒なページは何を意味しているのか、皆さんもそれぞれに考えてほしいと思います。

小手鞠るいさんの『ある晴れた夏の朝』(写真左)は、現代のアメリカに住む8人の高校生が、原爆投下の是非について肯定派と否定派に分かれてディベートをする物語。公開討論という形でそれぞれの主張を論理的かつ情熱的に語る高校生たちの熱い夏に心が揺さぶられます。自分の主張に固執するのではなく、相手の話を聞くことで少しずつ自分の考えも変わっていく―ーこの「対話」こそが平和への第一歩だと感じさせる1冊です。
そして2017年にノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の国際運営委員である川崎哲さんの『核兵器はなくせる』(写真右)もこの機会にぜひ読んでほしいと思います。今現在、世界中に多くの核兵器が存在する事実を、私たちの未来と切り離して考えることはできないはずです。よりよい未来を選択するために、これらの本はたくさんのことを教えてくれます。

『風が吹くとき』レイモンド・ブリッグズ作/さくまゆみこ訳/あすなろ書房 1600円+税
『この計画はひみつです』ジョナ・ウィンター文/ジャネット・ウィンター絵/さくまゆみこ訳/すずき出版 1500円+税
『ある晴れた夏の朝』小手鞠るい 著/偕成社 1400円+税
『核兵器はなくせる』川崎哲 著/岩波ジュニア新書 820円+税

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