3月の新刊で岩波少年文庫にアフリカの民話集『キバラカと魔法の馬』が入りましたが、続いて南部アフリカのむかしばなしを集めた『ノウサギのムトゥラ』が出ました。翻訳はいずれもさくまゆみこさんです。
作者のビヴァリー・ナイドゥーはこれまでYA文学がいくつか日本に紹介されていますが、昔話の再話が出版されるのはこれが初めて。目次をみるだけで楽しそうなタイトルがいくつも並んでいます。小さくても頭のいいノウサギと大きな動物たちの知恵比べがとても愉快で、読んでいると思わずクスクス笑ってしまいます。イラストがお話のおもしろさを盛り上げているところも十二分にありそうです。ムトゥラの“あの手この手”を子どもだけでなく大人にも楽しんでいただきたいと思います。

『ノウサギのムトゥラ 南部アフリカのむかしばなし』ビヴァリー・ナイドゥー 作/ピート・フロブラー 絵/さくまゆみこ 訳/岩波書店 1600円+税