中川李枝子さんの名エッセイ『本・子ども・絵本』(1982年初版/大和書房)が文春文庫に入りました。ご自身の本との出会いや幼い頃の記憶、岩波少年文庫の思い出、みどり保育園での保母時代のこと……全編を通して本と子どもへの深い愛情が感じられる作品です。子育て中の方も、子育ては終わってしまった人も、子どもに少しでも関心のある方はぜひお読みください。子どもと絵本の関係は大人の関わりなくしてなりたたないこと、子育てに絵本が力強い見方になってくれることなどがやさしい言葉で語られ、何より大人を勇気づけてくれます。2015年に出てナルニア国でもベストセラーになった『子どもはみんな問題児』(新潮社/1000円+税)よりは若干読みごたえもありますが、文庫でこの充実ぶりはお買い得! 文庫になったことでさらに多くの方に出会っていただけたら嬉しく思います。

『本・子ども・絵本』中川李枝子 著/山脇百合子 絵/文春文庫 680円+税