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『囚われのアマル』
アイシャ・サイード 作
相良倫子 訳
さ・え・ら書房 刊 
2020年4月 発行
本体1,600円+税
255ページ
対象:小学校高学年以上

きみは、どんなにこわくても、自分が正しいと思う道を進もうとしている――それを人は勇気と呼ぶんだ
パキスタン、パンジャブ地方の小さな村に住む12歳のアマルは、将来教師になることを夢見る勉強好きな少女だ。だが、5人姉妹の長女として産後のひだちが悪い母親に代わって妹たちの面倒をみたり、家の仕事もしなければならず、思うように学校に行くこともできない。そしてある日、父親の借金のために地元の大地主の屋敷に使用人として売られてしまう。自由も誇りも奪われて囚われの身となったアマルだが、彼女は本を読むこと、学び続けることを決してあきらめなかった。

世界には「女だから」というだけで教育を受ける権利を奪われている子どもたちがまだまだ大勢います。貧しさ、宗教、社会的慣習など理由は様々ですが、彼女たちの「学びたい」という切実な願いが当たり前のこととして叶えられる世の中にしていかなくてはなりません。そのために私たちはまずは問題の存在を知り、世界中で今も戦っているアマルのような子どもたちに心を寄せることが大切なのです。 (か)