クリーンヒット⚾ ノンフィクション
『従順さのどこがいけないのか』
将基面貴巳(しょうぎめんたかし)著
筑摩書房 刊
2021年9月10日 発行
定価924円(税込)
223ページ
対象:高校生から

「だって、しょうがないじゃん」が持つ危険

「みんながそうしてるもん」「回りに合わせないと!」「ルールだから仕方がないでしょ」
「先生が言ってるんだから」
日本の中ではごくごくありふれたフレーズ。
ありふれているけれど、私は「こういったフレーズに流されないぞ」と思っていました。
でも、この本を読んで、自分がどんなに「流されていたか」を思い知りました。
なぜなら、私はフワッと「思考」していたからです。

この本は、こうした「フレーズ」がどんなに危険であるかを政治、思想、歴史の視点から
快刀乱麻を断つごとく、バッサバッサと解明していきます。
時に極論と思えるような論調もありますが、自分の中で曖昧にしていた部分までガツンと
踏み込み、「おまえはどう考えるのか?」とぐいぐい迫られます。

何かの災難に見舞われた時、私たちは(少なくとも私は)「しかたがない」と心の中で
つぶやいていましたが、著者ははっきりこう言います。
『災難に見舞われた際「これは不運なのか不正なのか」を問うこと。すぐに「しかたがない」と
言って諦めないこと』

「しかたがない」と言ってしまう口をぐっと堪えて、「思考」する癖をつけること。
こうした人々が増えたなら、日本の中にある、生ぬるい「生きづらさ」が少しずつ変化するの
かなと思いました。                     (く)

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