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内容詳細

二つの愛が二つの国を造った

古代教会最大の思想家アウグスティヌスの畢生の大作であり、その後のヨーロッパ思想の歴史観・国家観に多大な影響を及ぼした『神の国』。
アウグスティヌス研究の第一人者である著者が、『神の国』が執筆された時代背景、全体構想、そして基本思想を分かりやすく解説した入門書。

【目 次】

はしがき
序 論

第1章 時代背景
1 異教世界の没落と異教徒への反撃
2 異教勢力と異端の跋扈
3 古代的世界観の崩壊

第Ⅰ部 『神の国』の全体構想

第2章 『神の国』前半──「異教徒への反論」の概要
はじめに──『神の国』の全体的構成
1 第1─5巻──社会の繁栄には多くの神々が必要であり、神々の礼拝を禁止したことが災いを招いたとする人々への反論
2 第6─10巻──この世の災いのためではなく、死後の生命のために多くの神々の礼拝が必要だとする人々への反論

第3章 『神の国』後半──「神の国と地の国についての積極的主張」の概要
1 第11─14巻──2つの国の起源
2 第15─18巻──2つの国の進展
3 第19─22巻──2つの国の終局

第4章 ローマ世界の社会的・宗教的問題
1 都市国家の特質
2 イスラエル民族とイエスの「神の国」思想
3 アウグスティヌス時代の社会構造
4 ローマ社会の道徳的退廃と幸運の迷信的支配
5 ウァロの『人事と神事との故事来歴』とローマ宗教の実体
6 ダイモン崇拝の批判
7 ポルフュリオス批判

第Ⅱ部 『神の国』の基本思想

第5章 創造と歴史の意義
はじめに
1 キリスト教的自然観
2 プラトンの『ティマイオス』との比較考察
3 世界時代と歴史
4 歴史の非歴史的解釈と歴史的解釈

第6章 キウィタス概念
1 スキピオの「国家」概念とキウィタス
2 キウィタス概念の新しい内容
3 キウィタスと国家および教会

第7章 「時間の秩序」と歴史の解釈
はじめに
1 被造世界と時間との同時性
2 歴史の発展過程と時間の秩序
3 救済史と時間の秩序
4 歴史の究極目的としての「秩序の静謐」(tranquillitas ordinis)

第8章 国家の秩序と平和
1 人間の社会的本性と国家の概念
2 キケロの国家論
3 アウグスティヌスの国家観の特質
4 終末論的希望
5 統治論と君主の鑑

第9章 愛の秩序と倫理思想
はじめに
1 「愛の秩序」の概念規定
2 3つの愛の順序としての秩序
3 性愛における愛の秩序
4 「享受と使用」による愛の倫理

第10章 人間学の3段階説
1 人間の新しい次元の発見
2 『神の国』の人間論
3 人間学の3段階説
4 人間学の3段階説の発展

第Ⅲ部 結論的考察

第11章 歴史の神学
はじめに
1 歴史の意味
2 「時間の秩序」の内容
3 時間の秩序と救済史
4 『神の国』の時間論──円環的時間から直線的時間へ
5 歴史の終末論的解釈

付論1 アウグスティヌスにおける時間と歴史性の問題
付論2 アウグスティヌスによる文化総合の試み

あとがき
参考文献表
アウグスティヌス年譜

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