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内容詳細

なぜ日本に人権思想は根付かないのか?

欧米と日本の人権理解の相違点はどこにあるのか? 日本国憲法第97条に謳われる「基本的人権」のルーツと受容の歴史を辿り、日本人が「人権思想」を理解できない問題点を浮き彫りにする。

「人権は、どのような土壌で生まれ、どんな戦いを成分として成長してきたのか? なぜキリスト教が関係し、日本国憲法にも影響しているのか? にもかかわらず、どうして歴史に反動的な社会勢力が成長するのか? こうした疑問を少しずつ解きほぐしながら、人権法制化へと向かわせたエネルギーを明らかにし、『人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果』へと至った物語に案内したい。そうすることによって、キリスト教国ではない日本で、今後どのようにして人権の発展が可能となるか、その新しい道を発見することができるだろう」(本文より)

【目次】

まえがき

序論 人権思想と宗教的要素 第1節 はじめに 第2節 学者たちの伝統思想への傾斜 第3節 本書の問題設定と方法

第1部 欧米型人権の形成過程と日本国憲法への影響

第1章 源泉としての聖書的人間観

第2章 抵抗権の形成過程 第1節 改革運動前夜 第2節 プロテスタント教会の形成過程 第3節 理念としての抵抗権の成立 第4節 抵抗権の思想史的系譜とカルヴァン主義者の展開 第5節 間奏曲としての問題の先取り──近代社会の課題

第3章 人権理念の形成過程 第1節 イングランド国教会とピューリタンの登場 第2節 ピューリタニズム運動 第3節 抵抗権の展開と「人民の福祉」 第4節 人権理念の成立 第5節 問題の整理

第4章 人権理念の法制化過程 第1節 メイフラワー契約 第2節 教会と国家の分離 第3節 信仰復興運動の人権法制化への影響 第4節 人権理念の法制化 第5節 人権法制化における神学思想史的考察

第5章 キリスト教人権思想の日本国憲法への影響 第1節 日本国憲法成立の舞台裏 第2節 鈴木安蔵とキリスト教 第3節 植木枝盛とキリスト教 第2部への導入的結語──日本における人権思想史のアイロニー

第2部 天皇型平等と人権──日本における抵抗権確立の壁

第6章 天皇型平等思想の淵源──構造原理と抵抗権の限界 第1節 天皇型平等の意味 第2節 天皇赤子という平等観 第3節 「一君万民」論の源流 第4節 「一君万民」的平等論 第5節 赤子平等理念の源流──長谷川昭道

第7章 天皇型人権思想の成立と展開 第1節 明治政府の政策 第2節 天皇型平等思想の台頭 第3節 欧米型人権の敗退要因

第8章 抵抗権の継承者の喪失 第1節 カトリック教会の対応と抵抗思想の損失 第2節 小崎弘道が残した課題 第3節 天皇とキリスト

終章 日本における人権確立の課題と展望 第1節 問題の本質 第2節 天皇型人権を継続させた政治的要因 第3節 日本における人権思想の受容・展開の課題

注 参考文献 憲法対観表 索引

 

【お詫びと訂正】

本書籍『抵抗権と人権の思想史――欧米型と天皇型の攻防』において誤りがありましたので、ここに謹んでお詫び申し上げますと同時に、下記の通り訂正いたします。

正誤表

44頁3行目
誤)朝鮮出兵のために博多を訪れた時
正)九州平定のために筑前箱崎(福岡市)を訪れた時

235頁11行目
誤)神祇官が最初に行った一つは「神仏分離」であった。
正)神祇官の創設に先立って「神仏分離」が行われたことも重要である。

337頁12行目
誤)今やその命を吹き替えしている。
正)今やその命を吹き返している。

以上

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