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内容詳細

……その時点で私は『新約聖霊論』(本書改題前)を未見であった。それから早くも40年あまり。……ブルトマンとケーゼマンの両者に共通するさらに大きな欠は、「体験」としての聖霊論がないことである。たしかに、「神学」の土俵上の聖霊論への目配りは、ないわけではない。しかし、著者(ブルトマンとケーゼマン)と教会共同体に「聖霊が吹いた『跡』」への目配りは皆無である。言葉を換えて言えば、その「跡」をたどりながら、福音書全体を読む解釈学的視点がないのである。……こうして問題は、本書の著者(渡辺善太)が畢生の課題とした正典論と密接に関連してくる。しかし、それに立ち入ることは小論の任ではない。ただ一つここで言えるのは、ケーゼマンの件の判断が、「聖霊の吹いた『跡』」をたどる解釈学的視座を欠いていることと決して無関係ではないだろうということである。この意味で、本書の結語の最後に記された「神学なき体験は盲目であり 体験なき神学は空虚である」という言葉には、深く頷けるものがある。(書き下ろし巻頭論考より)

巻頭論考:聖霊の吹いた「跡」をたどる――ヨハネ福音書によせて―― 大貫隆

 

※『新約聖霊論』を改題

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