『子どもを描く 林明子の世界』
『子どもを描く 林明子の世界』
福音館書店編集部 編
福音館書店 刊
2026年4月20日 発行
2640円(税込)
160ページ
分類:ノンフィクション
対象:大人
世代をこえて愛される絵本の数々ーーその創作の舞台裏にせまる
1973年、福音館書店の月刊絵本「かがくのとも」の『かみひこうき』で絵本作家としてデビューをした林明子さん。初めての物語絵本は1976年3月号「こどものとも」の『はじめてのおつかい』(筒井頼子作)で、この絵本は50年以上にわたって子どもたちに読み継がれています。赤ちゃん絵本『おつきさまこんばんは』から、『魔女の宅急便』の挿絵まで、幅広い年齢の子どもたちに向けて作品を描いてきた林明子さんが、どのような思いから作品を生み出されたのか、エッセイやインタビューなどご自身の言葉を核に読み解いていく、フルカラーの画集のように美しい1冊です。
第2章の“絵本づくりの舞台裏”では、『はじめてのおつかい』『あさえとちいさいいもうと』『こんとあき』などの作品について、制作の過程や工夫が丁寧に解説されていきます。読者である子どもたちが自然に物語の主人公に自分を重ねることができるのは、林さんが「現実の世界よりもっと本物だと思ってもらえなければならない」という姿勢で作品の創作にあたられたからに他なりません。絵の中にこれほど真摯で繊細な配慮があることを子どもは知る由もありませんが、大人は本書をきっかけに、自分の愛読書がなぜ幼い自分を魅了したのかを、改めて知ることでしょう。林明子さんの作品には、本物の子どもと、その子どもに対する深い愛情が描かれているからこそ、幼い子どもを魅了し、忘れられない幸福な記憶となって、大人になっても心に残り続けるのです。
「子どものための絵本とは何か」という問いに一つの答えを示してくれる本書は、林明子ファンのみならず、絵本を創作しようとする人や、様々な場所で子どもの本に関わる人たちに手に取ってほしい資料集です。(か)
★個人的には、林明子さんの“私の好きな絵本”のコラムと、「かがくのとも」折り込み付録・ひとコマ漫画“灰児くんのビクビクインタビュー”が好きです!
林明子さんは2026年7月1日に永眠されました。たくさんの素晴らしい作品を私たちに残してくださったことへの感謝とともに、ご冥福をお祈り申し上げます。
