『クリスマスのくつした』

『クリスマスのくつした』
エリナー・ファージョン 詩
石津ちひろ 訳
ほりかわりまこ 絵
のら書店 刊
2025年10月 発行
1650円(税込)
24ページ
分類:詩、絵本
対象:幼児から

クリスマスの贈り物にぴったりの、ぬくもりにあふれた絵本

1957年にイギリスで出版されたエリナー・ファージョンの詩集“The children's bells”から、短いクリスマスの詩が翻訳出版されました。イラストは画家の堀川理万子さんにより、全面的に描き下ろされています。

表紙にはプレゼントの入ったくつしたを眼前に掲げる小さな女の子がいます。くつしたに隠れて表情はほとんど見えませんが、嬉しそうに満面の笑みを浮かべていることが想像される表紙です。
表紙をめくると、見返しには小さな引き出しのようなイラストがあります。箱には1から24までの番号が振られていて、ここからすでにクリスマスを待ち望むワクワク感が漂っています。タイトルの入った中表紙の右下にも「24」の数字があり、これは本のページ数ではなくクリスマスのカウントダウン(アドベント)であることが、読者に告げられるのです。
暖炉につるされたクリスマスのくつしたの中に、今夜何が届くかしら? と問いかけられ、小さな素朴な贈り物の紹介が続きます。決して派手な色使いではないのですが、美しさとぬくもりが感じられる丁寧なイラストに心地よさを感じます。そこには贈り物を用意する両親の愛情が満ちているようです。クリスマスの当日、雪の降る外から室内を見ると、プレゼントをもらった女の子が得意げにラッパを吹く様子を微笑みながら見守る両親の姿があり、テーブルの上にはオレンジや1ペニーコイン、甘いお菓子も乗っているのが見えます。この最終ページは、絵本の中でもとりわけ幸せを感じる場面です。
現実の世界では多くの困難に直面している子どもたちがいます。このような当たり前の小さな幸福がすべての子どもたちの上にあるようにと、願わずにはいられません。(か)