『ムーンライズ』
『ムーンライズ』
サラ・クロッサン 作
三辺律子 訳
岩波書店 刊
2026年5月20日 発行
2530円(税込)
398ページ
分類:フィクション
対象:中学生から
容疑者とその家族の葛藤ーーカーネギー賞作家が詩で紡ぐ、命の物語
2015年に発表した『わたしの全てのわたしたち』(ハーパーコリンズ・ジャパン)でカーネギー賞を受賞し、その他の邦訳に『タフィー』(岩波書店)がある作家の新刊。前2作がとてもよかったので、楽しみに読みました(未読のかたは、ぜひ読んでみて!)。
本作も前作と同様、ヴァース・ノベルと呼ばれる詩の形で綴られた小説です。あまり耳にしたことのない方もあるでしょうが、このこと(ヴァース・ノベル)については訳者のあとがきに詳しいので、ぜひあとがきも忘れずに読んでほしいと思います。
さて。
兄のエドは警官を殺したという罪で死刑囚になりました。それから10年が経ち、17歳になった弟のジョーは刑の執行日が決まった知らせをうけます。最後の数週間をエドと過ごすことにしますが…。
情景描写というよりは、端的に登場人物の気持ちが綴られているので(それがヴァース・ノベルの特徴といえます)、ダイレクトに感情の揺れが伝わってきます。
苛立ちとやるせなさがないまぜになったような心地が続きます。
特に、後半はジョーの気持ちをビシバシ感じて、胸が熱くなりました。ヴァース・ノベルという形態が話の内容にとても合っていると思いました。
決して明るいとはいえない読後感ですが、さまざまなことを考えるきっかけを与えてくれる1冊といえましょう。 (す)
