フェザー 白い羽根をみつけた夏

『フェザー 白い羽根をみつけた夏』
マノン・ステファン・ロス 作
野沢佳織 訳
静山社 刊
2026年7月 発行
1650円(税込)
144ページ
分類:フィクション
対象:小学校高学年から

最高にすばらしことはみんな、夏休みのあいだに起こる

父親と二人暮らしの12歳のヒューにとって、近所に住むおばあちゃんの家は唯一心安らげる場所です。背が高く、髪もきれいに染めて、ジーンズとかっこいいスニーカーでキメているおばあちゃんは、ヒューの自慢でもありました。ところがそんなおばあちゃんがもの忘れをしやすくなり、同じ話を何度も繰り返したり、しまいにずっと昔に戦争で死んだはずの自分の兄とヒューを間違えるようになって、ヒューは心配でなりません。その後、ずっとしまい込んでいた古い家族写真を出してきたおばあちゃんは、家のタブーとなっていて誰も話題にしてこなかった兄・ジョニーのことを「完全に忘れてしまわないうちに」知りたいのだとヒューに打ち明けます。折しも、歴史の授業で「自分の親族が第二次世界大戦から受けた影響について調べること」が夏休みの課題になったことから、ヒューは大叔父であるジョニーについて幼なじみのキーランやクラスの秀才クレアと共に調査を始めます。その結果、ヒューは思いもよらなかった家族の秘密について知ることになるのです。

自分の大好きな家族(おばあちゃん)が少しずつ昔と違ってしまうことへの悲しみと恐怖を抱えながら、それでもできる限り寄り添おうとするヒュー。自分が兄に対して行ったことを生涯後悔し、それを誰にも言えなかったおばあちゃんが、ヒューの「何があったのか聞かせて」という言葉で初めて心の奥にしまい込んでいた本当の気持ちを告白する場面には胸を突かれます。また、ヒュー自身も、ジョニーとおばあちゃんたち家族の辛い歴史を知る中で、父親と正面から向き合う勇気を得るのです。家族であっても心がすれ違うことはありますが、きちんと向かい合って言葉を交わせば、きっと通じ合うことができるはず―—そんな希望も感じられそうです。

150頁弱の物語ですが、様々な重いテーマを軽やかに描いており、爽やかな読後感で読者を魅了する作品です。(か)

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