『やねの上のカールソン とびまわる』 

『やねの上のカールソン とびまわる』
アストリッド・リンドグレーン 作
イロン・ヴィークランド 絵
石井登志子 訳
岩波書店 刊
2026年7月 発行
2530円(税込)
228ページ
分類:フィクション
対象:小学校高学年から

ホイ、ホイ! 世界一のいたずら屋だよ!

ストックホルムの5階建てマンションの最上階に、ママとパパ、兄さんと姉さんの5人家族で住んでいるリッレブロールには秘密の友だちがいます。それは屋上の煙突の裏のかわいらしい家に住むカールソンです。カールソンは背中にプロペラをつけて飛び回る、愉快でわがままでいらずら好きのヘンテコなおじさん。そして、リッレブロールの最高の遊び友だちです。

夏休み、田舎のおばあちゃんのところで過ごしたリッレブロールが家に帰ってくると、カールソンがいません。引っ越してしまったのかとがっかりしているところへ、窓の外からブーンという耳慣れた音が……! カールソンは戻ってくるなりリッレブロールが大事にしている切手を掃除機で吸い込んでしまった上に、それを取り出そうと掃除機のごみをマットの上にぶちまける始末。相変わらずやりたい放題のいたずらぶりは全開です。

そんなある日、リッレブロールのママが病気療養で田舎に行くことになり、代わりのお手伝いさんが来ることになりました。やってきたミス・ヤギは、年取った頑固そうな怒りっぽい目をした女の人で、子どもも犬も「よくしつけられた」もの以外は好きではないのです。お腹を空かせて学校から帰ってきたリッレブロールは、おやつももらえず宿題をするようにと台所から追い出されてしまいます。でも、そんなとき味方になってくれるのは、やっぱりカールソンです! 台所の窓の外から、ヤギッチョさんの焼いたシナモンロールを見事に失敬して、ふたりはカールソンの家でシナモンロール・パーティーを開きます。その後も、ヤギッチョさんが「おばけを見た人」としてテレビに出たいと思っていることを知ると、おばけの恰好をして脅かそうといたずらをしかけるのです。

カールソンのいたずらは前作よりますますパワーアップ! 真面目な読者をハラハラさせることでしょう。カールソンの言動は常識にとらわれず、徹底的に自分中心ですが、おもしろいことが大好きで、いつでもきっぱり「ぼくはもういやだ!」と言える主人公です。これはもしかしたら、リンドグレーンが子どもたちに見せたかった理想的な子どもの姿だったのではないか――そんなことを考えます。(か)

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