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内容詳細
日本を代表する神学者による教義学の決定版!
聖書神学を尊重し、遠大な神学史・教義学史を検討し、現代世界の思想的難題にも応答した教義学の記念碑的著作。
 上巻では、本書の構想と特徴を明示した上で、啓示から贖罪論までが扱われる。
 既刊の『キリスト教倫理学』『キリスト教弁証学』と合わせ、ここに著者の構想する「キリスト教組織神学」の全貌が明らかに!
【目次】
はじめに
 参考文献略号表
序 キリスト教教義学とは何か
第一章 神学とは何か
 1 神学とその可能性
 2 神学の成立の場としての教会
 3 「祈りの法則」(lex orandi)
 4 神学する者と召命としての神学
 5 神学の学問性
 6 神学の資源
 7 神学の諸分野
第二章 福音主義の神学
 1 神学の背景にある教会とその伝統
 2 「福音主義」とは何か
 3 西方教会の第三形態
 4 日本における福音主義の神学
 5 福音主義者の長所と短所
 6 福音主義と公同教会
 7 福音主義神学とキリスト教のアイデンティティ
第三章 教義学とは何か
 1 教義の学
 2 教義学史の概観
 3 組織神学における教義学
 4 教義学の構成
 5 教義学と説教
第Ⅰ部 キリスト教教義学の認識根拠──歴史的啓示と証言としての聖書
第四章 歴史のイエスにおける神の啓示
 1 信仰の根拠
 2 啓示をめぐる神学史的現在状況
 3 歴史的啓示
 4 歴史的啓示と神の言葉
 5 歴史のイエスと神の啓示
 6 歴史的啓示に対するイエスの復活の意味
 補充考察 一般啓示と特殊啓示
 補充考察 啓示された神(deus revelatus)と隠された神(deus absconditus)
第五章 歴史的啓示と使徒的証言
 1 啓示の認識と使徒的証言
 2 聖霊の証言──開示(外的啓示)と霊感(内的啓示)
 3 啓示の内実としての三位一体の神
 4 啓示の時
 5 イエス・キリストにおける啓示の究極性
 補充考察 エルンスト・トレルチの歴史的方法によるイエス理解──「イエスなきキリスト教」克服の試み
第六章 証言としての聖書
 1 証言としての聖書
 2 聖書の成立(文章化)
 3 聖書と神の言葉
 4 聖書と伝統
 5 聖書の権威
 6 聖書の正典化
 7 旧約聖書と新約聖書
 8 聖書と信仰告白
 9 聖書と礼拝、ならびに説教
第Ⅱ部 神論
第七章 三位一体の神
 1 歴史的啓示からの認識
 2 歴史的啓示による神の三つの位格
 3 経綸的三位一体と内在的三位一体、その区別と関係
 4 三位にいます神の一体性
 5 神性の起源なき起源としての父なる神のモナルキア
 6 フィリオクエ(子とからも)
 7 聖霊の位格性
 8 三位一体と神の受苦
 9 三位一体の神の人格性
 補充考察 三位一体の異端説の恒常的存続
第八章 神の本質
 1 啓示からの「神の本質」の理解
 2 神の本質を表現する諸概念の構成について
 3 聖なる神の自由
 4 愛である神
 5 主である神
 6 神の全能、永遠、遍在
 ①全能の神 ②神の永遠性 ③神の遍在
 7 愛である神の恵み、義、真実
 ①神の恵み ②神の義 ③神の真実
 8 神の栄光
第九章 神の永遠の意志決定
 1 神の啓示と神の永遠の意志決定
 2 三位一体的意志決定と救済史
 3 神の永遠の意志決定における創造の決意
 4 永遠の意志決定による永遠と時間の関係
 5 歴史的啓示の神的起源
 6 神の啓示決意における「適応」(accommodatio)の意志
 7 神の永遠の意志決定の認識表現としてのドクソロジー
第一〇章 契約の神
 1 契約の神と永遠の意志決定
 2 聖書の証言における神の契約
 3 御子の派遣による契約の成就
 4 契約と救済史
 5 契約の特殊性と普遍性
 補充考察 契約について
 ①契約と共同体形成 ②契約と神の国
第Ⅲ部 創造論
第一一章 創造者である神
 1 創造論の意味と位置
 2 創造の認識根拠
 3 創造の聖書的典拠
 4 創造者である神
 5 神の創造行為
 6 創造における「無から」(ex nihilo)の理解をめぐって
 7 継続的創造
 補充考察 創造論史における異説
第一二章 創造の時間と空間
 1 アウグスティヌスにおける「初めの創造」と「時間」の関係
 2 アウグスティヌスの「創造の時間」の理解に対するカール・バルトの批判
 3 ユルゲン・モルトマンの創造と時間の理解
 4 初めの創造における永遠と時間、遍在と空間
第一三章 創造された世界
 1 創造論史における世界の喪失とその回復
 2 創造された世界の特徴
 ①世界とその中の万物の被造性 ②世界の限界、有限性と非中心性 ③世界の有意味性 ④世界の単一性、一回性、統一性 ⑤世界とその中の万物の偶然性 ⑥創造の多層性と多彩性 ⑦万物の関係性、連帯性 ⑧世界とその中の万物の理解可能性 ⑨世界の未知性 ⑩世界の未完結性
 3 天と地
 ①天 ②地
 補充考察 天使について
第一四章 神の被造物としての人間
 1 創造論的人間論の位置
 2 人間の本質と尊厳としての「神の似像性」
 3 心身統一体としての人間
 4 有限な人間
 5 人間の生の一回性
 6 人格と共同体
 7 人間と他の被造物
 補充考察 逢坂元吉郎における身体性の問題
 ①逢坂における身体性問題 ②受肉のキリスト ③聖餐論 ④受肉のキリストの伝統と聖書と信条
第一五章 創造と神の国
 1 創造と救済の関係
 2 創造に刻まれた目的
 3 宇宙の開始と終わり
 4 創造と神の国
第Ⅳ部 救済史における人間の悲惨と希望
第一六章 神の摂理と救済史
 1 神の摂理と摂理論
 2 摂理論再考に対する文明史的要請
 3 摂理の認識根拠としてのイエス・キリストにおける三位一体の神の啓示
 4 被造物の「保持」
 5 「共働」としての摂理
 6 「統治」としての摂理
第一七章 救済史の陰の面
 1 教義学編成上の問題
 2 救済史の陰の面
 3 ヤハウィストの「原初史」(Urgeschichte)の意味
 4 罪と悪の起源をめぐる神学的考察
 5 救済史の陰の面と悪魔論
第一八章 神関係の破壊としての人間の罪
 1 罪をめぐる現在の状況
 2 罪の啓示認識と経験的な罪の認識
 3 罪をめぐる神学史的経緯
 4 神関係の破壊としての罪とその領域
 5 原罪──罪の根源性、全体性、普遍性、不可避性
 6 高慢、貪欲、虚偽
 7 アルブレヒト・リッチュルの「罪の国」をめぐって
 補充考察 カール・バルトの罪論の問題
第一九章 罪の結果としての死
 1 聖なる神の怒りと忍耐
 2 罪の結果としての死
 3 全体的な死
 4 死の時
 5 罰と審判
 6 「自由な死」と死の無意味化
第二〇章 イスラエルの道
 1 イスラエル論の不可欠性
 2 選びによる契約の民
 3 エクソダス
 4 イスラエルの使命
 5 預言者──イスラエルの罪と挫折
 6 預言者とイスラエルの希望
 7 教義学に残されるイスラエル問題
第二一章 律法
 1 キリスト教教義学の問題としての「律法」
 2 イスラエル契約とトーラー、その律法化
 3 罪と律法
 4 「律法と福音」の問題
 5 律法の三重の用法(triplex usus legis)
 6 カール・バルトの「福音と律法」とその意味
 7 永遠の律法
第二二章 神義論の意味
 1 神義論と教義学
 2 ライプニッツとヘーゲルにおける神義論
 3 マックス・ヴェーバーにおける世界の非合理性と神義論
 4 パウル・ティリッヒにおける摂理の信仰と神義論
 5 ヴォルフハルト・パネンベルクの神義論の問題性
 6 ユルゲン・モルトマンにおける「苦難の神義論」
 7 キリストの十字架による神義論への解答
第Ⅴ部 イエス・キリストと三位一体論的贖罪論
第二三章 贖罪論の位置と意味
 1 贖罪論の位置
 2 贖罪理解の教理史的カテゴリー
 3 贖罪論史の概観
 ①アタナシオス『言(ロゴス)の受肉について』 ②アンセルムス『神はなぜ人間になったか』 ③ルターの「幸いな交換」と「驚くべき一騎打ち」 ④カルヴァンの多面的贖罪論 ⑤フォーサイスにおける「聖性の告白」 ⑥バルトにおける「われわれの代わりに裁かれた方としての審判者」
 4 贖罪理解の聖書的表象
 ①引き渡しの表象 ②神の御心の遂行の表象 ③代理的受難死の表象 ④身代金の表象 ⑤契約の回復・新しい成就の表象 ⑥過越の小羊の表象 ⑦祭儀的犠牲の表象 ⑧審判の表象 ⑨勝利と解放の表象 ⑩呪いの死の表象 ⑪神の怒りの表象 ⑫生命授与の表象 ⑬医療的治癒の表象 ⑭模範の表象 ⑮「立派な告白」の表象 ⑯宇宙的関連の表象
 5 三位一体論的贖罪論
 ①キリスト論的贖罪論と三位一体論的贖罪論 ②三位一体論的贖罪論への教理史的端緒
 6 イエス・キリストにおける神の贖罪行為の救済史的位置
第二四章 イエス・キリストの誕生
 1 イエスの誕生の事実とその意味解釈
 2 神のロゴスの受肉(incarnatio)あるいは神の御子の人間化(Menschwerdung)
 3 聖霊による受胎(conceptus de spiritu sancto)と処女降誕(natus ex virgine)
 4 「両性論」とその困難
 5 謙卑(exinanitio)
 補充考察 二〇世紀の神学におけるアンヒュポスタシスとエンヒュポスタシスの問題
第二五章 イエス・キリストの生涯
 1 イエスの実像──歴史的と神学的
 2 イエスの洗礼と召命
 3 イエスと洗礼者ヨハネの相違
 4 イエスの祈り
 5 イエスの使信──神の国の接近
 6 神の国の突入におけるイエスの活動
 7 イエスの権威主張とキリスト論にとってのその意義
 8 イエスによる「人の子」の自称と「受難の人の子」
第二六章 イエス・キリストの十字架
 1 イエス・キリストの十字架の理由
 ①イエスが負った磔刑 ②大祭司カイアファの文脈 ③ローマ総督ピラトの文脈 ④歴史のイエスその人の理由
 2 イエス・キリストの無罪性
 3 神の国とイエスの十字架
 4 エロイ、エロイ、レマ、サバクタニ
 5 三位一体論的十字架の神学
 ①二つの「十字架の神学」 ②十字架の死におけるイエスの行為 ③イエスの十字架の死における神の行為 ④信仰と命の聖霊 ⑤三位一体論的十字架の神学の意味
 補充考察 Descensus ad inferos(陰府に降り)
第二七章 イエス・キリストの復活
 1 キリスト教信仰の根拠としてのイエス・キリストの復活とその事実
 2 イエスの復活の意味──概括
 3 三位一体論的な復活の神学
 4 神の生命と命の神学
 ①生ける神 ②「命を与える聖霊」と「命の神学」 ③イエスの復活による義と生命
 5 イエス・キリストの高挙
 ①復活と高挙 ②高挙の主 ③キリストの支配
第二八章 イエス・キリストの三重の職務(munus triplex)
 1 三重の職務の教説とその歴史
 ①キリストの三重の職務 ②三重の職務の教説の歴史 ③三重の職務に対するヴェルナー・エラートの批判、その意味と弱点
 2 三重の職務の教説の位置と意味
 3 イエス・キリストは真の王
 4 イエス・キリストは真の祭司
 5 イエス・キリストは真の預言者
 6 イエス・キリストは真の羊飼い(munus quadruplex?)
 補充考察 カール・バルトにおけるキリストの三重の職務論
第二九章 贖罪と和解と神の国
 1 贖罪と和解
 2 和解と救済史
 3 和解と義認
 4 新約聖書における和解をめぐって
 5 贖罪、和解、神の国
あとがき


 
  
 