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内容詳細

はじめて教理を学ぶあなたに!

問1 私たちにとって一番大切なことは何ですか。
答  神さまの子どもとして、神さまと共に歩むことです。

はじめて教理を学ぶ人のために作られたカテキズム(信仰問答・教理問答)。教会学校・日曜学校や教会員の家庭のみならず、洗礼志願者への信仰の手引きとしても使えます。牧田吉和氏(前神戸改革派神学校校長。現在、日本キリスト改革派山田教会牧師)を中心に編纂されたものです。

「このカテキズムによって、第一に、契約の子どもたちの信仰継承のさらなる前進が目指されています。……第二に、地域の子ども伝道のためでもあります。……第三に、このカテキズムは、教理の中心と全体を成人求道者に提示し、罪の悔い改めと信仰告白、洗礼入会を深く促すものともなるはずです。……第四に、現代を生きるキリスト者に信仰に生きる力と伝道の言葉を紡ぎ出させるための霊的修練を深めるガイドブックともなると思います」(あとがきより)

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書評

教会学校や洗礼志願者の学びのために

関川泰寛

 本書は、日本キリスト改革派教会大会教育委員会によって作成された、子どもと親の信仰養育を目的とするカテキズムです。
 すでに、さまざまなカテキズムが、翻訳されたり、新しく執筆されたりしていますが、教会挙げて作成されたカテキズムが新たに世に送り出されたことはまことに喜ばしい限りです。
 カテキズムは、「信仰問答」と訳されますが、宗教改革の時代に、プロテスタント教会が新しい信仰共同体を教理的な基礎の上に築くために、教理の基本を子どもたちに伝えることによって、信仰の養育を目指したものです。一六世紀の、ルターの『小教理問答』、カルヴァンの『ジュネーヴ教会信仰問答』、さらに一七世紀の『ウェストミンスター小教理問答』などがよく知られています。
 今日新しいカテキズムを作成する目的は、二一世紀の日本の子どもたちに、より分かりやすく、しかも信仰の要をしっかりと伝えるところにあるでしょう。日本という伝道地にも、教理に根ざした信仰問答がぜひ必要なのです。本書は、『ウェストミンスター小教理問答』が、今日のわたしたちには、少し難しく感じられるために、そこへの橋渡しの役割を意図して作成されました。カテキズムは、日本のような伝道地には、不向きであって、もっと子どもたちには、聖書の物語を自由に伝えるべきだという主張をよく耳にします。
 しかし、カテキズムをしっかりと用いることは、聖書の物語を無味乾燥なものとするのではなく、むしろ、あらゆる人間的な読み込みや解釈から自由になって、聖書そのもののメッセージを教会中に響かせるために必要なのです。
 カテキズムという言葉は、カテケイン(響く)に由来すると言われています。教師が教える人、生徒が学ぶ人という固定概念で考えるのではなく、教会がそれに生き、大切にしてきた信仰の言葉を、教える者と学ぶ者とが互いに響かせ合いながら、信仰の道を歩むことができます。本書には、「神さまと共に歩む道」という副題が付されていて、カテキズムを教える者も読む者も、ともに神さまの示してくださった救いの道を一歩一歩、主の霊に導かれて進むことができるようになっています。
 さて、本書には、使徒信条、ニカイア信条、そして十戒と主の祈りが、はじめと終わりに掲げられています。印象的なのは第一問です。「私たちにとって一番大切なことは何ですか」に対して、「神さまの子どもとして、神さまと共に歩むことです」と答えます。その後、第一部「信じて歩む道」、第二部「教会と共に歩む道」、そして第三部「感謝しつつ歩む道」と展開し、道という言葉が全体の鍵語となって、しかも子どもたちが、神の契約の子として、教会共同体に招かれ、育てられるという明確な神学的な道筋を辿ることができるように、信仰問答が作成されています。
 わたしたちの課題は、このような神学的な構造をしっかりと持つカテキズムを生かすためには、それらが指し示す生けるキリストの現臨の中へと子どもたちを招く営みに、カテキズムを作成した教会全体が参与するところにあると思います。
 評者自身は、日本基督教団内の連合長老会に長く属し、『明解カテキズム』『続・明解カテキズム』の註解の作成に関わってきました。そこでの実感は、一つのカテキズム作成には、予想を超えるエネルギーが必要であるというものでした。しかし、その作成に尻込みしているわけにはいかないのです。今この時、教会がカテキズムを作成して実際に使用することが待ったなしの課題です。その意味で、本書の出版を喜ぶとともに、諸教会が実際にこれを用いて、子どもたちの信仰の養育に取り組まれることを切に願って止みません。

(せきかわ・やすひろ=東京神学大学教授、日本基督教団大森めぐみ教会牧師)

『本のひろば』(2015年3月号)より