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内容詳細

一日ひとこと、あなたの心に新しい風

インターネットで発信され、5万超の共感を集めた神父の言葉を厳選! 仕事、家庭、人間関係に悩み、まいにち頑張るあなたへの366の言葉の贈り物。大切な方へのプレゼントにも最適です。

すべてが自分の思った通りになれば、
結局、自分が思っている程度の人間にしかなれません。
思った通りにならないからこそ、
ときどき思いがけない試練がやってくるからこそ、
自分の想像をはるかに越えて
成長することができるのです。

◎著者紹介
片柳弘史(かたやなぎ・ひろし) Twitterアカウント @hiroshisj
1971年埼玉県上尾市生まれ。1994年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。1994─95年コルカタにてボランティア活動。マザー・テレサから神父になるよう勧められる。1998年イエズス会入会。現在は山口県宇部市で教会の神父、幼稚園の講師、刑務所の教誨師として働く。
『世界で一番たいせつなあなたへ──マザー・テレサからの贈り物』(PHP研究所)、『ひめくりすずめ──いつもそばにいるよ』(キリスト新聞社)など著作多数。

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書評

悩めるすべての人へのメッセージ

沢知恵

 文庫本サイズで、手触りのよいあたたかみのあるカバー。日めくりカレンダーのように、一ページにひとつずつのことば。詩集のようなたっぷりのスペース。それゆえ厚みはあるけれど、消費税込みでも千円でおつりがくるとは。手に取りやすく、親しみやすい本です。

 内容は、悩めるすべての人への慰めと励まし、そして気づきへのメッセージです。いわゆる自己啓発系の本とみなすこともできますし、そのほうがマーケティングしやすいかもしれません。しかし読んでみると、ずっしり心に響くものがあって、何かがちがう。「う~む」と思わずうなり声をあげてしまったり、意味はわかっても、くり返しかみしめたくなったり。けっして押しつけないのに力強い。いったいどんな人が書いたのだろうと興味がわきます。

 片柳弘史さんは一九七一年生まれ。あらま、私と同い歳! そこでまず背筋が伸びます。大学で法律を学んだ後、インドのコルカタでボランティアに従事し、マザー・テレサから神父になるよう勧められてイエズス会に入会。現在は山口県で教会の神父、幼稚園の講師、刑務所の教誨師として働いていらっしゃるそうです。にっこり笑った童顔のお顔は、これまた親しみやすく、私を含め六万人以上がフォローしているツイッターには、すずめのかぶりものをした写真で登場しています。毎日のように投稿されるすずめの写真は圧巻で、小さいものへのいつくしみに満ちたまなざしに、多くの人が癒されています。「すずめ写真家」という肩書も加えてよさそうです。

 本の中から、いまの私をとらえたことばをいくつか紹介します。

 「心に傷を受けたときは、どこにどんな傷を受けたのかを確かめましょう。傷口を確かめれば、その大きさと深さにふさわしい治し方が分かります。重傷をかすり傷だと思い込めば、傷はますますひどくなるばかりです。(二月二二日)」

 つい大丈夫なふりをしてしまいがちな私。うんと傷ついたのだと自覚することからしか一歩を踏み出せなかったあのときのことを思い出しました。

 「『なぜ、わたしだけこんな目にあうのだろう』と思うほど傷ついた心を癒せるのは、『なぜ、わたしにこんなにもよくしてくれるのだろう』と思うほどの優しさの体験だけ。 理不尽な苦しみを癒すことができるのは、理屈を越えた愛の温もりだけです。(四月四日)」

 何度このような深い愛に救われたことか。圧倒されるほどの愛に。はたして私に同じことができるだろうかと思うのです。

 「『コンディションが悪いから』というのは、言い訳になりません。コンディションを十分に整えられなかったことも含めて、それが今の自分の実力なのです。言い訳して逃げ出さず、謙虚な心で現実に立ち向かいましょう。(六月一一日)」

 歌手として身にしみることばです。

 「たった一人でも存在を否定された人がいる限り、その社会に平和が訪れることはありません。自分の存在を否定された人が、黙っていなくなるはずがないからです。平和な社会とは、すべての人が自分の居場所を見つけられる社会のことなのです。(八月一一日)」

 アーメン!真の平和の意味と、そのために日々自分がなすべきことを再認識しました。

 他にもたくさんありますが、誌面の都合で紹介しきれません。読む人によって、またそのときの心のありようによって、響くことばもちがうことでしょう。

 見事なまでにキリスト教用語は登場しません。聖句の引用もありません。「愛」「祈り」「神さま」はたくさん出てきますが、それはどんな人の心にも通じるものとして。聖句さえ散りばめれば伝道になると勘違いしているクリスチャンたちに、いや、日本での伝道はそうじゃないでしょう、と静かな一撃を食らわしてくれるかのように。読み終えて、これほど伝道にふさわしい本はないと思いました。イエスさまのことばは、やさしいだけではなかった。ときに厳しく、激しく、語りかけてくださった。あっ、聖書を読んでみたい!

(さわ・ともえ=歌手、日本基督教団岡山教会員)

『本のひろば』(2018年3月号)より