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内容詳細

信仰の核心とは何か?

ルターが「神の義」を発見したとされる、重要な文書・ガラテヤ書。私たちの信仰を支えるイエス・キリストの恵みを、パウロの伝道の言葉とともに力強く語る珠玉の説教集。

福音とは「よき知らせ」のことであり、「神の救いの知らせ」です。その「よき知らせ」は「キリストの福音」だけです。「キリストの福音」は、キリストがもたらした福音、キリストによる福音です。……キリスト御自身が福音なのです。 (本文より)

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書評

信仰の体幹を鍛えるために

髙橋潤

 本書は、著者が銀座教会の協力牧師として語った説教集です。求道者、信仰者、説教者が自分自身を訓練する方法は、聖書を読み、祈ることと共に説教を読むことが大切です。運動選手が体幹を鍛えることを重要視していますが、信仰の体幹を鍛えるためにぜひ、毎日一編ずつ本書の説教を読んで味わうことをお勧めします。「戦いの書」と呼ばれるガラテヤの信徒への手紙を通して、何を信じているのか、与えられた信仰が人生をどのように支えているのか、著者の迫力ある言葉によって明確に示され、励まされ、信仰の内容が整理されます。読者は人間の言葉に動揺することなく神の言葉にしっかり立つ者へと導かれます。

 著者は、銀座教会長山信夫前牧師と神学校の同級生であり、神学生時代から今日まで、日本基督教団の全体教会が真のキリストの教会として立ち続けるために戦い続けてきた同志です。共に銀座教会に仕えつつ、同時に地域の教会、全国の教会のために目を配り、相談に乗り、多くの牧師と教会の危機を支えてこられました。著者は銀座教会における教会形成に深く関わりつつ、同時に、全体教会に仕える献身的な働きを続けてこられたことは多くの人が知るところです。日本のキリスト教会、特に、教団紛争から現在に至る約半世紀の中で、聖書の御言葉に立ち続け、教会の土台を堅固にするために説教壇に立ち続け、一貫して聖書に忠実に語り続ける著者に与えられた神の言葉の一端が本書です。

 具体的には、二〇一四年から二〇一六年にかけて主日礼拝で語られた二二の説教です。直接の会衆は、銀座教会に集まった方々ですが、著者の説教は、著者が第一に批評を求めた夫人はじめ、毎週の礼拝に熱心に集まる教会員だけでなく、全体教会に向かって語られていると思わされます。本書の最初の説教「キリスト以外に福音はない」の冒頭において、「聖書は、時代を超えて、現代の教会に、また私たち誰に対しても語りかけています」(一二頁)と聖書の言葉の普遍性について語っています。であれば、神の言葉の解き明かしである説教は、聖書に忠実に語る時、自ずと聖書の普遍性に与って、その説教は全体教会に届く言葉になるのではないでしょうか。

 この説教が語られた時、銀座教会は創立一二五周年の前後を迎えていました。創立一二五周年記念事業を進めていました。五〇〇人礼拝を目標に掲げ、建物の改修工事等を計画実施していました。そのような中で語られた説教です。最初の説教は次の言葉で結ばれています。「キリストがいてくださることに満ち足りること」「キリストが御自分をわたしたちの罪のために献げてくださった、そのことだけによって私たちは救われています」「健康も仕事も、富も業績も、家族のことも友人のことも、日本のことも世界のことも、すべては神の恵みに応える捧げもの、神の栄えのためにささげる感謝の供えものです。それ以外では断じてあり得ない。この信仰の信念に立って、私たちの信仰の人生を歩んでいきたいと思います」(一八頁)。この言葉は、銀座教会だけでなく、多くの方々が私のために語られた言葉として受け止めることができる福音の根幹です。

 ある会合の中で、著者が「妻の言葉に押され励まされて、教義学の執筆を決意した」と語られていました。限りある命と与えられた時間の中で完成するかどうか分からないが取り組むことにしたと語られていました。本書の「あとがき」に記されているように、著者は神学者と説教者の使命を「説教しながら神学し、神学しながら説教する」(一八〇頁)という姿勢を貫いて両立しておられます。著者の説教集を読むと著者の難解な神学書を読みたくなります。そしてその神学書を読むと説教集を読みたくなるのです。

 現在私は、毎月銀座教会の講壇で近藤勝彦協力牧師の語る説教を一番近くで聞いています。熱が入ると小刻みに動く指を見ながら、その迫力に圧倒され、慰められ励まされ、神の国を見つめる恵みに与り、「安心しなさい」ではじまる祝祷によって派遣されています。

(たかはし・じゅん=日本基督教団銀座教会牧師)

『本のひろば』(2018年10月号)より