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内容詳細

トマスの「エッセ」(存在)について,研究が遅れていたトマスのアリストテレス註解書『命題論註解』と『形而上学註解』を検討し新たな解釈を提示する。

エッセの定動詞estや派生語の「エンス」(存在するもの),「エッセンチア」について,『神学大全』や『真理論』などとアリストテレス註解書を照合し,それぞれの概念の意味を考察するとともに,「エッセ」が「存在」だけでは捉えられないことを明らかにする。

第1章では19世紀末から現代までの「エッセ」をめぐるジルソンやファブロ,ロッツなどの議論を踏まえた研究史を検討する。トマスの「エッセ」に関心をもつ読者にとって格好の手引きとなろう。

第2章ではエッセの定動詞estがトマスのエッセ論の核心であり,estを「概念なき述語づけ」と解釈する。

第3章以降では,形而上学の主題である「エンス」を中心に考察される。トマスは,エンスが「エッセ的にも定義的にも質料に依存しない」と言うが,従来十分に論じられてこなかった,このエンスの非質料性とはいかなることかを検討する。
次にエンスを「知性が最初に最もよく知られたものとして捉えるもの」としたトマス自身のこの規定を検討し,人間の経験の根源に,具体的な経験に限定される以前の,普遍的な次元におけるエンスを見出し,そして人間の知性はそのような普遍的な次元におけるエンスに触れるというトマスの結論を踏まえ,エンスは「存在するもの」であるかが考察される。

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