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内容詳細

パウロは熱烈なユダヤ教徒だったが,キリスト教に改宗した。彼は初め他の使徒たちとともにユダヤ人に福音の宣教をするが,ユダヤ人のキリスト教徒や使徒たちの無理解と迫害を受け,それを機に異邦人たちへの伝道に旅立った。彼はガラテアの地で多難な経験をしつつ,律法への執着を断ち,受難者キリストの福音に導こうと格闘する。トマスは本註解で,その実態に迫りつつ,キリストの福音を伝える彼の思いを生き生きと紹介し,キリスト教信仰の本質を考察する。
律法と福音の強い緊張下で,新たなヘレニズム世界のもとにある異邦人たちに,パウロはどのように福音の意味を説明し,説得していったのか。ガラテア書は使徒パウロの苦心のはたらきを見事に伝えるとともに,ユダヤ教を超えてキリストの受難の意味を通して,福音の真実を解き明かし,キリスト教の意義を明らかにする。
またパウロは生前のイエスを知らず,「復活のキリスト」との出会いにより使徒となった。彼の立場と直弟子ペテロとの関係は,形成期のキリスト教を理解するうえで示唆に富んだものである。
訳者は平明で読みやすい訳文を心がけ,さらにガラテア書の章節に関わるトマス『神学大全』の関連箇所を示して,いっそう深い理解への手引きとしている。

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