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内容詳細

本書はキリスト教古代から近世にいたる「信仰と知」をめぐる思索を代表的な思想家を通して解明する。古典古代で形成された知の探求構造はいかに聖書理解に受け継がれたか、信仰における問題意識に理性はいかに迫り、それ自体としては表現できない超越的な事態を理性はいかに理解へともたらすのかなど、多様な問題に光をあてる。

キリスト教がギリシア・ローマの思想と対峙した2世紀、教父たちは古代の知恵を信仰理解と信仰生活に生かすために、ヘレニズム的テキスト解釈を聖書解釈へ導入し、中期プラトン主義による救済史的神学体系の構築に挑んだ。

11世紀のラテン中世では、信仰内容を「理性のみによって」探求する初期スコラ学がアンセルムスにより形成され、「信仰と知」は自らに目覚めた理性と聖書理解および教会の伝統との関係を問う「理性と権威」として主題化された。

アリストテレス哲学がイスラム世界から受容された13世紀の盛期スコラ学では、「知」は経験的認識に基づいた「学知」となり、信仰理解は「大全」にまとめ上げられ、「信仰と知」は大学において「神学と哲学」として提起された。

14世紀の後期スコラ学になると哲学と神学の密接な関係が神学の優位性とともに解体し、経験と個体を重視するスコトゥスとオッカムの思惟の展開、また思弁的知性論を軸としたエックハルトからクザーヌスへの潮流が、イギリス経験論と大陸合理論、ドイツ観念論へと展開していった。

「信仰と知」から見た中世思想史としても格好の基本文献。

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