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内容詳細

東方キリスト教において「観想」は極めて重要であった。観想を通して神と出会い,神との一致を求める修行は修道士の最高の目的である。しかし彼らの体験には優れた先達の導きが必要で,一様な修行指南や指導にも指導者各人の特質が反映した。個人の体験は言語化するや否や,もはや純正の体験を表現するものではない。言語を介さないはずの観想やその体験について,彼ら霊的師父たちは語るほどに生の体験が色褪せていくことを知りつつ言葉を尽くして語った。

はじめにヘシュカスムによる観想の世界を論ずる。ヘシュカスムとは砂漠や荒れ野で神と結びつこうとした人々に発する東方霊性の根幹にある霊性運動であり,それを通して修行者の苦闘を描くと共に祈りの方法・技法やイコンをも観想言語の領域として考察する。

次に擬ディオニュシオスに照準を当て,彼の取り扱った神名,否定神学,テアルキ,秘跡などの問題を解明し,彼が観想を中心に据えていることを確認する。

さらに東方霊性を理論的に集大成したグレゴリオス・パラマスを取り上げ,彼がよく引用するディオニュシオスの解釈を検討し,次いでパラマスが関わったヘシュカスム論争の真相を明らかにする。
本書は「観想」を通して,西方とは異質な東方キリスト教の霊性がもつ特徴を解明した画期的業績である。

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