シャローム工房は1997年創業のキリスト教関連グッズの制作、販売をしているアトリエです。滑川詩遊氏の「書を通して聖書のみ言葉を世に伝えていきたい」という願いから運営されています。今回、滑川詩遊氏へのインタビューと共に作品をご紹介する機会を得ることができました。
―先生は東京福音センター(銀座教会地下一階)で書道教室をしていらっしゃるということですが、教会の敷地内で書道教室というのは珍しいですね。
-滑川詩遊先生(以下詩遊)
私が教えているのは「聖句書道」なんです。クリスチャンの方で「聖句を墨書で書いてみたい」という方は意外に多くて、ご要望にお応えする形で聖句書道教室を開いています。筆で何か文字を書くってどうしても思い入れが入るでしょ?書をしたためることは、私にとってそのまま祈りなんですね。
―書道と信仰。不思議な組み合わせですが、先生ご自身は最初それぞれどのような接点を持たれたのですか。
-詩遊
そうですねぇ。書を始めたのが1964年。もともと小さいころから書道には慣れ親しんできていました。師事したのが今井凌雪先生(漢字)、宮本竹逕先生(かな)といういずれも高名な書家だったんですね。その後関東に引っ越してきましたが、所属する書道会からの勧めでいろいろな展覧会に出品して、幸い入選することも度々ありました。角川映画の「天と地と」という作品の題字のコンペに入賞したこともありましたよ。
それとキリスト教との接点は結婚からです。結婚式を挙式したのが、大阪では有名な浪花教会(現日本キリスト教団浪花教会)だったんですね。それまでは、幼いころにクリスマスや何かで教会にちょっとは足を運んでいましたけど、結婚を機に足しげく教会に通うようになりましたね。(※注 浪花教会は「澤山保羅」を初代牧師とする大阪の名門プロテスタント教会。教会もアメリカ人建築家のウィリアム・メレル・ヴォーリズの指揮によるもの)。
―なるほど。若い時からずっと書の腕を磨いてこられたんですね。信仰のきっかけも結婚式からというのは、教会関係者にとっては大きな励みになるお話だと思います。ところで、教文館では先生の聖句の作品を扱っていますが、聖句を書で書き始められたきっかけというのはどういうところからですか。
-詩遊
20年ほど前だったと思いますが、ある時いろいろあって、自分を励ます聖句の日めくりカレンダーが欲しいと思ったんですね。でも思うようなものがどこにもなかったんです。ないなら自分で作ればいいと思って、手作りの聖句カレンダーを作りました。それを教会員の方が見られて、私も欲しいとおっしゃるので、印刷してお配りしようかと。100部くらいを作ればいいかと思って印刷屋さんに行ってみたら「100部作るのも500部作るのもそう金額は変わらないですよ」と言うじゃないですか。ちょっと躊躇しましたが、思い切って500部作りました。
それで作ってはみたものの、それだけの数のカレンダーをどうしようかと考えましたね(笑)。そしたら、私の夫が「教文館というキリスト教の有名な本屋があるよ」と教えてくれたんですね。失礼ですけど当時私は教文館を存じ上げなかったので、夫が飛び込み営業に行ったんですね。
―そうですか、教文館に最初に来ていただいたんですね。むしろそれはとても光栄です。経緯もまるでイエス様のタラントのたとえ話を聞いているようですね。大きく預けた者には大きな祝福が待っているというたとえ話です。
-詩遊
それがご縁で教文館で個展を開くようになり、作品も常設で置いていただくことになりました。当時とは少し変わっていますが「聖句カレンダ―」、ほかにも「聖句フレーム」「聖句カード」、一筆箋や色紙、クリアファイルなども。ご要望にお応えするような形で様々な商品を開発しました。自分ではこれだけ作ればいいかと思って納品しても、一週間で完売して慌てて納品数を追加したなんてこともありましたね。
それから個別に書の依頼を受けることもあります。教会行事の記念品としてクリアファイルを作ったり、変わったところでは「墓碑」の文字制作なんてのも手がけましたね。
―趣味で書くのとは違って、書道教室を運営しながら、アトリエも運営して、大変ですね。
-詩遊
大変なんですよ(笑)。例えば色紙一枚の制作依頼があったとき、「一週間から10日はお待ちください」とあらかじめ念を押しておきます。聖句色紙一つ書くのに、何十枚もの候補を書くんです。ただ字を書くだけでなくて、その聖句の持つ意味、味わい、お客様のことすべてを考えながら書くんですね。だからこれで良しとすぐにはならない。逆にそれだけ書いて、最初の一枚がやっぱり一番良いということもあります。そういう世界なんです。でもおかげで聖句は身に染みてたくさん覚えましたね(笑)。
―今日はお忙しい中を、インタビューに応じていただき本当にありがとうございました。今後のご活躍も期待をしております。
滑川詩遊氏書歴
出身地 奈良市
1963年 純真女子短期大学国文科卒業
1964年より書を始め現在に至る
(漢字)今井凌雪先生に師事
(かな)宮本竹逕先生に師事
毎日書道展入賞
日本書芸院展入賞
角川映画「天と地と」書コンペティション入賞
ほか多数
現在日本書芸院会員
個展
1997年「平和への祈り」(銀座教文館)
1999年「一粒の麦地に落ちて」(新宿オアシスブックセンター)
2002年「天地創造」(銀座教文館)
2007年「地の塩世の光」(銀座教文館)
2013年「はじめにことばあり」(銀座教文館)
2014年「からし種」(銀座教文館)
出版物
1994年「一粒の麦」日めくりカレンダー
1996年「ぶどうの木」讃美歌12か月
2000年「光あるうちに」聖句カレンダー
2012年「はじめにことばあり」聖句カレンダー
聖句書道(銀座教室)のご案内
日時 毎月第2土曜日 午後2時~4時
場所 銀座教会 東京福音会センター(地下1階)Tel: 03-3561-2910
指導内容 聖句書道、漢字、かな書道、くらしの書
受講料 3,000円
連絡先:
Tel/Fax: 043-275-0908 /E-mail: t.namekawa@outlook.jp