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内容詳細

イエスの十字架はユダを受容した。ユダ像の成立に隠された元始キリスト教の思想的・政治的力学とはなにか

キリスト教世界で「裏切り者」「密告者」の汚名を一身に受けてきたユダ。イエスへの裏切りという「負の遺産」はどう読み解くべきなのか。原始キリスト教におけるユダ像の変容を正典四福音書と『ユダの福音書』に追い、初期カトリシズムとの関係から正統的教会にとってのユダと「歴史のユダ」に迫る。イエスの十字架によっても救われない者とは誰か。

原始キリスト教史におけるユダ像の変遷を正典四福音書ごとに歴史的に追跡し、それを受けて二~三世紀に漸く成立しつつあった初期カトリシズムにおけるユダ像との関係で『ユダの福音書』のユダ像をどのように位置づけるかを歴史的に問い、外典を含めた福音書編者たちにとってユダとは誰であったのか、そしてその背後に想定される「歴史のユダ」とは誰であったのかという問いに、筆者なりの応答を試みている。その意味で本書はあくまでユダ像の歴史的探求の成果である。

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