文藝春秋から2014年、かこさとしさんが88歳の時に出版された『未来のだるまちゃんへ』が、かこさん90歳&だるまちゃんシリーズ誕生50周年の今年、文庫になりました。これでまた多くの方に読んでいただく機会が増えるのは嬉しいことです。
この本の「はじめに」でかこさんが語られていること、70年前の戦争を体験した世代の言葉は重く胸に響きます。かこさんは「戦争に負けて、てのひらを返すように態度を変えた大人たちを見て、ものすごく失望憤激した」一方、広く学ぶことをしなかった自分のことも「なんて短絡的で、浅はかだったのか。」とい猛烈に自省しておられます。敗戦への反省から「これからを生きていく子どもたちが、僕のような愚かなことをしないようにしたい。(中略) その手伝いをするのなら、死にはぐれた意味もあるかもしれない。」と、“”未来のだるまちゃん”たちに向けて、これまでたくさんの作品を作られてきたかこさんの人生を知ることは、私たちのこれからにとっても大切なことです。一人でも多くの方がこの本を読んでくださいますように!
※文庫版の解説は中川李枝子さんです。
『未来のだるまちゃんへ』かこさとし著/文春文庫 660円+税