1969年に岩崎美術社から出て、もう長いこと絶版になっていたマックス・リュティの『ヨーロッパの昔話』が、岩波文庫創刊90周年の記念出版として再刊されました。
本書は昔話が持つ特有の形について分析した古典的名著です。現代の創作文学より低く見られがちな昔話の価値について、その形と本質を学問的に追求した論文はいささか難しくはありますが、子どもの本に関わるものとして一度は学んでおきたい1冊ではないでしょうか。昔話を聞いたり、読んだり、語ったりしたことのある人にとっては、不思議に感じていた昔話の特徴に「そういう意味があったのか!」と驚きの発見があるはず。ぜひこの機会にお手にとってご覧くださいませ。

『ヨーロッパの昔話 その形と本質』マックス・リュティ著/小澤俊夫訳/岩波文庫 970円+税