1950年にアメリカで出版されて翌年コルデコット賞を受賞し、半世紀以上にわたって読み継がれている古典絵本の初邦訳です。絵本にしては文字が多いな~、いったいどんなお話なんだろうとずっと思っていたのですが、これはイースターのお話だったのですね。文章量が多いので、日本語版では絵本ではなく60ページほどの幼年童話になりました。
イースターはキリスト教にとってはとても大切なお祭りです。色を塗ったり絵を描いたりした卵をうさぎが持ってくるとか、隠してある卵を探すーーくらいのことは知られていますが、このお話のタイトル・“たまごの木”とはなんなのでしょうか…。
派手な作品ではありませんが、読み終わった後には大きくて美しい“たまごの木”のイメージがいっぱいに広がります。春を迎える喜びと、自らの手でそれを作り出す素朴な人々の営みが心に残る素敵な幼年童話です。

『イースターのたまごの木』キャサリン・ミルハウス作/福本友美子訳/徳間書店 1700円+税
※原書“The Egg Tree”(2160円+税)も取り扱っています。