2016年から刊行を続けてきた吉田新一先生の「連続講座 絵本の愉しみ」がついに完結しました。最終巻は『日本の絵本 昭和期の作家たち』です。吉田先生といえば英米の絵本研究(特にピーターラビット)の第一人者として有名ですので、日本の絵本は意外に思われる方も多いのではないでしょうか。海外の絵本研究に比べて、日本の絵本を歴史にそって紹介した本はあまり多くないように思われるので、吉田先生に解説していただけるのはとてもありがたい!と手に取りました。特に戦前の絵本について それがいかに戦意高揚に利用されたかという負の面も含めて、歴史を学んでおくことはとても大切だと思います。戦後の絵本として『かばくん』の中谷千代子や、『スーホの白い馬』の赤羽末吉についても論じられていますので、ぜひお楽しみください。

毎回、ご本が出るごとに吉田先生をお招きして講演会を催してきましたが、今回は残念ながら今のところ『日本の絵本』刊行記念講演会は予定されておりません。コロナが終息した時には、ぜひそのような機会を設けたいと願っております!

『連続講座<絵本の愉しみ>4 日本の絵本 昭和期の作家たち』吉田新一著/朝倉書店 2800円+税