赤ちゃん絵本でしかけのあるものは今でこそ珍しくはありませんが、この本が出版された30年以上前にはとても斬新だったと思います。しかけといっても大仰なものではなく、身近にいる大人が赤ちゃんの表情を見ながらゆっくりと語りかけるのにぴったりの絵本です。どの本にも決まったテキスト(文章)はないので、楽しくするのは読み手の力量次第といったところでしょうか? どうぞ赤ちゃんとのやり取りを楽しみながらページをめくっていってください。この中で私の一番のお気に入りは『にこにこかぼちゃ』――付属の透明シートには笑った顔とむすっとした顔の2種類があって、それを絵本の野菜に当ててみると怒ったり笑ったりするんですよ。

もう1冊復刊になったのは『蚤の市』。安野さんお得意の文字のない絵本です。ここには色々な場所からたくさんの人たちが古道具を持ってきています。道具だけではなく食べものも本も楽器も、大道芸までなんでもござれの蚤の市、外国の風景かと思いきや中には時代劇に出てきそうな大福帳や看板、甲冑まで、もうありとあらゆるものが描き込まれています。明け方の5時から夜の7時25分まで開かれている蚤の市で、あなたもぜひ自分だけの掘り出し物を見つけてください!

『いないいないばあのえほん』『にこにこかぼちゃ』『おめんのえほん』安野光雅 作/童話屋 各1500円+税
『蚤の市』安野光雅 作/童話屋 1650円+税