クリーンヒット ⚾ 詩・伝記・昔話
『じんせいは しがみついて なんぼです』
木坂涼 詩
長谷川義史 絵
フレーベル館 刊
2025年2月 発行
1870円(税込)
80ページ
対象:小学校低学年から
じわじわくる! 動物の詩が37編!
詩人が生きものたちの心の内を詩で代弁するというと、くどうなおこさんの「のはらうた」シリーズがすぐに思い浮かびますが、この本も負けず劣らずユニークです。タイトルにもなっている短い詩はコアラによるもので、1日の8割以上(20時間程度)を木の上で休みながら過ごすというコアラの生態からも「なるほど、確かに!」という一編。
全体は「地の章」と「水の章」に分けられ、昆虫・魚・鳥・哺乳類と様々な動物が登場します。それもそのはず、これらの詩はもともと雑誌「どうぶつと動物園」(公益財団法人 東京動物園協会発行)に掲載された作品を抜粋してまとめられたものなのです。みのむしやななほしてんとうと一緒にハダカデバネズミやスローロリスなど、身近ではない(動物園に行かないと見られない)生き物が登場するのはそういうわけなのです。そして、詩のひとつひとつに、個々の生態や生きている環境が盛り込まれていて「ほぉー」や「はぁ!」の連続。生き物たちの生存の知恵がさりげなく語られていますが、知識を客観的に列挙する図鑑とは異なり、その心の声はちょっとおかしかったり切なかったり、読んでいると生きものたちの気持ちに自然と心が寄り添っていく感じがたまりません。
声に出して読むとより一層楽しいリズミカルな詩集ですが、主にひらがなだけ(と一部カタカナ+数字)で書かれた文章は意外に読むのが難しいものです。こういった作品は文字を読み始めたばかりの子どもには少し難易度が高いので、大人が声に出して読んでやるとよいでしょう。動物園に持って行って、動物の前で読んでみるのもまた一興です。(か)
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