【たくさんのふしぎ40th】🤔(2018年9月号)
『すてきなタータンチェック』
奥田実紀 文
穂積和夫 絵
福音館書店 刊
2021年9月 発行
1430円(税込)
40ページ

タータンチェックをめぐって世界を旅するような1冊

著者の奥田実紀さんは、子どものころからチェック柄が好きだったそうです。そのチェックが“タータン(チェック)”と呼ばれる柄であることを知った奥田さんは、留学先のプリンス・エドワード島で島をイメージした美しいタータンに出合い、調べれば調べるほどに奥深いタータンの魅力に取りつかれていきます。図書館やインターネットで調べても疑問を解決することができなかった奥田さんは、とうとうタータンの生まれた国・スコットランドへ行くことを決意します。
タータンはもともとスコットランド北部のハイランド地方の民族衣装でした。長い間“野蛮人の住む土地”と思われており、田舎くさい布地としか見られていなかったタータンが、どういう過程でイギリスを象徴する布地となっていったのか――それがグレート・ブリテン王国の歴史や王室と深く結びついていることを丁寧に紐解いていく様子からは、著者のタータンへの深い愛情が感じられます。民族衣装としてスコットランド人の誇りであった一方、その歴史的背景ゆえに禁止されたりもしましたが、厳しい時代を生き延びたタータンは今や世界中で愛される布地として、7000種類以上がスコットランド・タータン登記所に登録(*)されているのだそうです。
*歴史的なタータンを守り、質の悪いタータンが広まるのを防ぐために、国が管理をして布地の柄を登録するという公的な制度が設けられています。

タータンの定義はたった二つに集約されます。いたってシンプルな定義だからこそ、チェック柄と色の組み合わせは無限に広がる可能性を持つのでしょう。古い歴史と伝統の上に今も新しいタータンが生み出されていることを思うと、「タータンは永遠に不滅」と思わずつぶやきたくなってしまいます。(か)

★ご注文、お問い合わせはお電話、Fax、メールにて承ります★
売場直通電話 03-3563-0730
Fax 03-3561-7350
メールでのお問い合わせは下記のフォームからどうぞ。

お問い合わせフォームへ