クリーンヒット ⚾ 『FtM(エフティーエム)トランスジェンダーのぼくのことを話そう』
江里ユウキ 著
講談社 刊
2025年4月7日 発行
1650円(税込)
171ページ
対象:小学校高学年から

初めて性別に対して違和感を持ったのは5歳のときだった…。

いわゆるセクシャルマイノリティーである著者が、自身のことを率直に綴った1冊です。
体は女性、心は男性ーー。そんな著者は誰かの役に立つことを願って本書を書きました。

5歳のとき、保育園のトイレで前にいた子に続いて男子用便器を使おうとしたら、先生に肩を抱かれて「女の子はこっちよ」と個室のトイレに誘導されたことを詳細に綴っています。
こんなふうに丁寧にその時の気持ちを覚えているってだけで、すごいなと思います。でも、それはそうせざるを得なかった、ってことでもあるのかも。
マイノリティーであるってことは、都度都度、自分の気持ちや何かを確認せざるを得ないのでは、とそんなことを感じました。

そして当たり前なんだけど、セクシャルマイノリティーというと、ひとまとめに括って考えがちだよねってこと。ひとりひとり事情も抱えている背景も違うから、「女は」とか「男は」ってふうにまとめて語るのはなんか違うと思いました。ま、「女は」とか言われるのもすきじゃないですけど(笑)。
ここに書かれれている事柄は、あくまでも「江里ユウキさん」のことであって、トランスジェンダーの人が皆、同じように感じたり考えたりするわけではないってことは重要じゃないのかな。

とはいえ、こんなふうに真面目に自分と向き合うって大切かもしれません。
なんとなく重苦しい雰囲気があるかもしれないけど、読後感はカラっとしています。なんだか元気になれる1冊であることは間違いない!

当事者の人には同志を得たかんじがするかもしれないし、学校の先生など相談を受ける可能性のある大人も読んでいて損はないはずです。

巻末には著者がすすめるブックリストを載せています。何かの参考にしてみては、いかが? (す)

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