最近、度々お知らせをしているので大変心苦しいのですが、今回も岩波書店の在庫僅少本のご案内です。今回は2作品が対象となっています。

1冊は岩波少年文庫の『大きなたまご』ーー松岡享子さんの翻訳作品です。ずっと昔に学研から出ていた本書は長いこと入手不可の状態になっていました。それが2015年に少年文庫入りした時には、本当に嬉しかったものです。細かい内容は忘れていたのですが、男の子が鶏の卵を返したらとんでもないものが生まれてきた……という展開だけは、強烈に印象に残っていました。この本については、ナルニア国で松岡享子展を行った2019年に、東京子ども図書館の杉山きく子さんが見事なブックトーク(というか抜粋の朗読会?)をしてくださったことが今でも忘れられません。次から次へと事件が起こり、目が離せないワクワクした展開に「こんなにおもしろい本だったのか!」と改めて発見しましたし、その上で「民主主義とは何ぞや?」を物語の中で描いていく作者の技がとにかくすごい。こういう優れた物語こそ長く残ってほしいのですが、本当に残念でなりません。

もう1冊は相良守峯訳の『グリム童話集3』です。オレンジ色の表紙に黄色のまど、そこにワンダ・ガアグの絵が入った表紙がとても印象的な作品です。岩波書店からは文庫は金田鬼一訳、現少年文庫は佐々木田鶴子訳と個性豊かな訳書が出てはいますが、相良訳のグリムも味があって(個人的に)大好きです。そして、中のイラストはなんと茂田井武! これについては巻末の解説で瀬田貞二が「グリム兄弟のしごと 茂田井さんのしごと」という文章を書かれているので、ぜひお読みください。3巻に収録されているお話は21話あり、「熊川太郎」(「熊の皮を着た男」)、「青いランプ」(「青いあかり」)、「一つ目、二つ目、三つ目」「踊ってぼろぼろにされた靴」「森の家」「マレーン姫」など、語る方が多いお話もたくさんあります。今回品切れになったら、今後再販される可能性は限りなく少ないと思いますので、買うなら今のうちですよ!

【限定20冊!】『大きなたまご』オリバー・バターワース作/松岡享子 訳/836円(税込)
【限定5冊!】『グリム童話集3』相良守峯 訳/茂田井武 絵/2090円(税込)

★ご注文、お問い合わせはお電話、Fax、メールにて承ります★
売場直通電話 03-3563-0730
Fax 03-3561-7350
メールでのお問い合わせは下記のフォームからどうぞ。

お問い合わせフォームへ