【たくさんのふしぎ40th】🤔 (2015年9月号)
『総天然色自然科学漫画 カタツムリ小笠原へ』
千葉聡 文
コマツシンヤ 絵
福音館書店 刊
2019年5月20日 発行
1430円(税込)
40ページ
海のずっとむこうにカタツムリの楽園があるんだって。
カタツムリ研究者とマンガ家が二人で取り組んだユニークな本。カタツムリの子どもたちが小笠原諸島へ行き、おじいさんカタツムリ博士からレクチャーを受けながらカタツムリの楽園を探訪する科学マンガです。あなたは小笠原の島々が「カタツムリの楽園」だと知っていましたか?
東京から南に約1000キロメートルの所に位置する小笠原群島には、120種類ものカタツムリが住んでいます。彼らはもともと本州からやってきたカタツムリの子孫で、天敵のいない島で独自の進化を遂げました。動きのゆっくりしたカタツムリ(1秒に1.5ミリしか進めない!)にとっては、小笠原の小さな島々も生息域としては十分広く、また違う種類同士が出会う機会もほぼなかったため、それぞれが住む場所の環境に合わせて様々に形を変えていったのです。重なり合った葉っぱのすき間に住むのにふさわしい平たい殻を持つものや、乾燥しにくいように表面積を小さくとんがり帽子型に進化した殻を持つもの、光を反射しやすいように白っぽい色の殻をもつもの、中には殻に毛の生えたカタツムリも! 人間の目から見ると驚くほど様々な違いを持つカタツムリたちは、300万年という気の遠くなるような時間をかけて環境に適応・進化してきた生命の不思議を体現した存在なのです。
しかしこれらの貴重なカタツムリたちは、人間活動の影響で危機に瀕しています。実際父島ではカタツムリを食べるニューギニアアヤリガタリクウズムシの侵入によって、カタマイマイが絶滅寸前まで追い込まれる事態にもなっています(現在は保護施設で飼育中)。生態系のバランスはとても繊細であり、一度壊れてしまうと容易には元に戻りません。今後は気候変動の影響もこれらの生きものたちの生存を脅かす重大な要因になっていくかもしれず、人間は地球に生きる他の生物に対しても大きな責任を負っていることを自覚する必要があると感じました。(か)
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