クリーンヒット ⚾ ノンフィクション
『死刑について私たちが知っておくべきこと』
丸山泰弘 著
筑摩書房 刊
2025年5月10日 発行
990円(税込)
195ページ
対象:高校生から

賛成派も反対派も「思い込み」で語る前にーー

日本には死刑制度が現在も存在しています。世界的にみれば、死刑制度がある国はごく少数とのこと。この制度に賛成するにしても、反対するにしても現状がどういうことになっているか、知っていますか?
あまり知られていない死刑制度に関するあれやこれやを丁寧に説明した1冊です。ときに難しい用語もありますが、論を急がずに書かれているので、ゆっくり読み進めてみてください。かく言うわたしもどこまで理解しているかは、わかりません(苦笑)。でも、死刑制度について何にも知らずにいるよりは、ぼんやりでも自分なりに知ることは大事、と思います。

目次を拾うと…「第1章:死刑はどのように運用されている?」「第2章:刑事政策の暗黒時代とその後」「第3章:被害者を支援するとはどういうことか」「第4章:死刑存置派と死刑廃止派の水掛け論」「第5章:日本の市民は本当に死刑を望んでいるのか」「第6章:「死刑は残虐な刑罰か」の過去・現在・未来」「第7章:アメリカが死刑を維持するためにとった7つの観点」「第8章:死刑存廃論のミニマリズム」となっています。

一番、問題なのは日本において死刑制度に関して、議論がほとんどなされていないことではないでしょうか。維持するにしても、廃止するにしても実態を明らかにし、十分な議論をする必要があると思いました。
よく死刑制度は犯罪抑止力がある、と耳にします。でも、実際のところはといえば、あるともないとも言えないといいます。また国民世論の多くが賛成との根拠には問題も多いそうです。

本書では結論は出されていません。読んだ人がそれぞれに考えを深めて、よき選択をする一助になればよいのかと思います。

これからの若い人だけでなく、大人こそ読むべき1冊かもしれません。 (す)

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