【たくさんのふしぎ40th】🤔(2022年6月号)
『うんこ虫を追え』
舘野鴻 文・絵
福音館書店 刊
2024年5月10日 発行
1430円(税込)
40ページ
わからないからおもしろい。
宝石のようにキラキラ輝き、丸っこい体に短い手脚がかわいい虫ーーオオセンチコガネ。その見た目からは想像できないけれど、この虫の大好物は「うんこ」。オオセンチコガネは、うんこ虫なのです。
オオセンチコガネは、卵から成虫までの暮らしが知られていません。そんな、謎につつまれた虫に注目し、生態を解き明かそうと奮闘した人がいます。その名は、舘野鴻さん。本書は、絵本作家である舘野さんが、100年以上前に書かれた『ファーブル昆虫記』を頼りにうんこ虫を飼育し、自らの手でうんこを調達しながら、生態の謎に迫った1冊です。
実験を重ね、徐々に明らかになる、オオセンチコガネの謎。4年もの時間をかけ、記録された実験の数々を見ていると、生命について深く考えさせられました。
舘野さんは「ひとつの虫のくらしを追うことは、その虫がそこにいるために欠かすことのできない関係や歴史を探ることにつながる。」といいます。
また、巻末では「人はいつのまにか、自然界の資源のやり取りから切り離されるどころか、資源を一方的にしぼりとるだけの生きもの」になってしまったことについても書かれています。
虫を見つけたとき、苦手な人は嫌悪感を抱いてしまうことがあるかもしれません。しかし、舘野さんは「嫌いな虫も「何をしているんだろう」とか、頑張ってるんだな」とか、そんなことをふと感じた瞬間に、ちょっと愛おしく見えてくるもの」であるといいます。その言葉のとおり、本書を読み終える時、うんこ虫を愛おしく思っている自分に気がつきます。
虫が好きな人だけに限らず、「好き」を追究したい子どもたち、そして大人にも、ぜひ手に取ってほしいです。「わからない」や「できない」で終わらせるのは、もったいない! ぜひ「わからない」を面白がってくださいね。(み)
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