【たくさんのふしぎ40th】🤔 (2012年12月号)
『たくさんのふしぎ版 南極のさかな大図鑑』
岩見哲夫 文
廣野研一 絵
福音館書店 刊
2020年6月20日 発行
1430円(税込)
48ページ
世界一冷たい海にも魚がいた!
本を手に取って最初に思ったことは「あれ?今回の『たくさんのふしぎ』、いつもよりぶ厚いぞ」ということ。通常40ページですが、本書は48ページに及びます。著者で南極海魚類研究の第一人者である岩見哲夫さんが南極の環境やそこに住む魚の生態を徹底解説。魚の図鑑絵もたくさん描かれており、いつまで見ていても飽きません。まさに「大図鑑」と呼べるものとなっているのです。
1ページ目に写っているのは1匹の魚のスケッチ画の写真。実はこれ、人類が世界で初めて記録した南極の魚のスケッチ画なのです。長い腹びれが特徴のこの魚は「アシナガコオリウオ」ではないか、といわれていますが、定かではありません。なぜならこの魚を発見した船の船医が目を離していた間に、船で飼われていた猫が魚を食べてしまったから…。こんな事件(?)が起こりながらも、時にマイナス2度近くになることがある南極海にすむ魚の研究は進んでいきました。
はるか昔は周辺の南アメリカ、アフリカ、オーストラリアと地続きになっていましたが、約2,500万年前に分裂し、南極大陸が生まれました。南極大陸周辺の海水は水温が低く、塩分濃度も異なります。周囲の海と水質が異なるため、海水の境が生まれます。見た目にはわからないこの境。人間にとっては些細な違いですが、魚にとっては完全に別の環境です。こうした環境に適応できた種類のみが南極海で生き続けることができたのです。さて、この特殊な環境に適応した魚たちは、他の海ではみられない進化を遂げました。その進化とは…?詳しくは本書を読んでみてください。生き物のたくましさに感嘆することでしょう。(ほ)
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